城北vs福岡魁誠
中島(城北)
交流戦で課題をみつける
「もっと積極性がないとダメですね」
試合後、そんなコメントを残してくれたのは熊本城北の末次敬典監督である。
1回表、福岡魁誠は、相手失策で出塁した1番・濱岡広行をバントで送って、4番・永江慶成がセンターへの犠飛を放ち、1点を先制した。
自分たちが目指す野球を相手にやられた熊本城北は、1回と3回以外、すべてスコアリングポジションに走者を進めた。ツーアウトにしてでもキッチリと走者を進め、チャンスを作る末次監督の采配だったが、結果的に熊本城北打線はそれに反し、要所で福岡魁誠の右腕・林新之助の前に凡打が続いた。
5回には、1死一、三塁のチャンスに4番・楢原優貴が三振、続く5番・藤本武彬が遊ゴロに打ち取られた。
出る(出塁)→送る(バント)→返す(打点)
そんな堅実な野球を目指す城北だけにスコアリングポジションから各打者の“積極的な気持ち”が今後の課題となった。
ただ、6回の攻撃では前の打席でチャンスに三振を喫した4番・楢原が1死一、三塁の場面で中前へ適時打を放つなど場面、場面での肌で感じた実戦経験が生きているようだった。
1年生の谷口(城北)
熊本では、春の県大会が3月下旬に開幕されるため、1年生が登場することはないが、この時期ならではのフレッシュな新戦力の台頭もみられた。(※4月に開幕する他県の春の県大会では1年生の登場もある)
2回の守りから三塁のポジションについた1年生の谷口寿希弥は、4回の初打席センター方向へ打球を放つと果敢な走塁で二塁へヘッドスライディングし、二塁打にすると第三打席、第四打席はともに送りバントをキッチリと決めるなど攻守にフレッシュさをみせてくれた。ちなみに谷口の兄も同校野球部のOBである。
さらにこの試合、9番・中堅手でスタメン出場の1年生・稲嶺佑真は、沖縄県の中城中学出身。中学時代は走り幅跳びと三段跳びの沖縄県チャンピオンという抜群の身体能力を誇る期待の選手である。
また、この日は、風邪のため、登板しなかったが、大城悠真も面白い。稲嶺と同じく沖縄出身の大城は、184センチの長身左腕で、高校入学直後からマウンドに立つなど、末次監督もその将来性に惚れ込んでいるほどの逸材である。
そんなフレッシュな新戦力の台頭も著しい熊本城北だが、ベンチ入りには、こんな約束事があるという。
投手は、一定のところへ投げられるコントロール。内野手は正面に入って相手の胸を目掛けた正確な送球など。
「ファインプレーは要らないから確実な野球を目指す」という基本を大事にするだけにポイントでどれだけ積極性をみせられるかが試合の鍵を握ることになる。
「結果はどうであれ、『取られたら取り返す』という厳しさがほしい」(末次監督)
投手を含めたミスのない野球を目指す城北が、実戦の中で課題をみつけること。これも交流戦という位置付けのクロスロードイン鳥栖ならではの経験ではないか。
今年は、5月上旬開幕のRKK旗、同下旬のNHK旗本戦の出場を逃した城北。夏までは公式戦に姿を見せないだけに熊本県内では不気味な存在であることには間違いない。
(文=PNアストロ)