社vs育英
小寺慶(社)
社、シード権獲得
左のエースの危機を救った『右のエース』小寺慶(3年)の好投で社が2回戦に進んだ。
「昨日(15日)に先発を言われました」と小寺。橋本智稔監督は、エースナンバーを背負う左腕の阿比留拳(3年)が体調不良で、「木曜日まで学校を休んでいた」と調整不足だったことを明らかにした。
「自分に先発がくると予感してました」と心の準備が出来ていたことを強調した小寺。
1年生時から、ダブルエースとして切磋琢磨してきた左腕の危機に、闘志を漲らせた右のエース。
気持ちのこもった直球を主体に、育英打線を序盤ほぼ完璧に抑えた。
ピンチを迎えたのは6回、1点差に詰め寄られた場面だ。同点の走者を二塁に背負った小寺。「継投も準備していた」と橋本監督は話したが、同点まではOKと右のエースに託した。1死2塁で育英の5番嶋津勇樹(3年)をセカンドフライに。さらに6番嵩貫一(3年)を三振に仕留めてピンチを脱した。
「少し高めに浮いたが、最少失点に食い止められたのが大きかった」と心境を話した小寺。
その裏、打者一巡の攻撃で5点を挙げた社打線。そのトドメの一撃は5番を打つ小寺のバットによるもの。「ここで決めたいと思った」と笑顔を見せた。
育英 ベンチ前
19校が進出した兵庫県大会。夏のシード権は16校のため、抽選でこの日の1回戦に登場した6チームは勝たないと権利は得られない(敗れれば準シード扱いとなる)。
橋本監督は「シードを獲ると獲れないとでは大違い」とホッとした表情を浮かべた。
兵庫のシード権は、2回戦からの登場に加えて、初戦から2,3試合が確実に地元に近い球場で行われるという利点がある。
北播地区の社は、勝手知る高砂球場で夏の初戦を迎えることが濃厚だ。
逆にシードを逃せば、宿泊の可能性がある球場など、どこに当たるかわからない。それだけに、是が非でも獲得したいシード権。
敗れた育英は、西神戸地区予選ではライバル・神戸国際大付に8対6と競り勝ち、自信をつけての県大会出場だったが、あと1本が出ず、追いつききれなかった。秋の王者を破っても掴めなかったシード権。混戦模様に拍車がかかる夏を予感させるような一戦でもあった。
(文=松倉雄太)