神奈川工vs横浜緑ヶ丘
長谷川君(神奈川工)
両投手が踏ん張り合った粘りの投手戦、神奈川工に軍配
初回の攻防でお互いが、ワイルドピッチ、パスボールというバッテリーエラーで1点ずつを献上しあうという形で始まった試合。
それだけに乱戦の様相かなと思ったのだが、2回以降はお互いにまとまってきて、ロースコアで競い合う、しっかりと締まった両投手の粘り合いの投手戦となった。
結果的に決勝点となったのは4回だった。神奈川工は四球とバント安打を含む2本の内野安打で満塁として、九番日比君が右前へポトリと落とす安打で三塁走者を帰したものだった。神奈川工としては、さらに追加点機だったのだが、ここは横浜緑ケ丘の水沼君がよくこらえて二直併殺で逃れた。
以降も、神奈川工の左腕長谷川君、緑ヶ丘の166㎝ながら打っても四番に入っている水沼君の両投手が走者は出しつつも、粘りの投球を見せて凌いでいた。
長谷川君は左腕からのカーブが特徴だが、立ち上がりはストレート中心の配球で、そこをしぶとく食い下がる緑ヶ丘打線にきっちりと合わされていた。そこで、3回以降から、カーブを上手に使うことによって横浜緑ケ丘打線は打ち切れず、以降は毎回三振で、終わってみたら12奪三振ということになっていた。
見ている印象としては、そんなにバッタバッタと三振を奪っているという印象ではないのだけれども、すべて空振りの三振だったことからも、以下にそのカーブが有効だったかということが窺われるだろう。
水沼君(横浜緑ヶ丘)
水沼君は、とにかく丁寧な投球で、打者を見ながら、どこへどう投げるのがいいのかということを考えながらの粘りの投球で、走者を出しても決して慌てない。むしろ、そこからが自分の持ち味と言わんばかりの余裕すら感じさせた。
ライナーでの併殺が2度あったというのも、野手の正面を突くようなコースに投げていたとも言えるのではないだろうか。
何とか、勝ったものの神奈川工打線としては、最後まで絞り切れなかったというのが本音だったようだ。
それでも、この大会はある程度勝ちにこだわっている西野幸雄監督は安堵の表情だった。
「ここ何年かの中では、一番まとまってきたと思っているチームなのですが、昨秋は(上位進出という)結果が残せませんでした。ボクら(指導者)を信じてついてきてくれている選手たちに対して、こうやっていればいいんだということを示してあげるためには、春の大会でも結果を残してあげたいんですよ。そのチャンスだと思っていますし、それだけのチームだと思います」と、チームに対しての期待も高い。
04年夏には決勝進出を果たしている実績もある神奈川工である。
西野監督としては、その時以上のチームにしていきたいという思いも強いチームになっているようだ。こうした接戦をものにしていきながら、さらにチームとしても成長していくのではないだろうか。
(文=手束 仁)