東予vs今治北大三島
今治北大三島ナイン
“野球未経験者が教えてくれた「やるべきこと」。”
愛媛県と広島県に浮かぶ芸予列島の1つである大三島に位置する今治北高校大三島分校。
「しまなみ海道」によって陸地とはつながっているものの、他の離島高校と同じく生徒不足に悩まされており、今大会も14人の選手登録のうち野球部の正規部員は5名。
残りは陸上部2名、卓球部6名という「試合2週間前から1時間半練習につきあってもらった」(村上敏之部長)急増布陣で臨まざるをえなかった。
しかしながら、今大会における彼らの頑張りは特筆に価するものだったといえよう。
22日に行なわれた1回戦では西条農相手に10対1で7回コールド勝ち。
この日の代表決定戦・東予戦でも試合は敗れたものの、陸上部員の7番・山縣真樹三塁手(2年)の2安打を放つなど6安打。中でも8回裏・卓球部員の9番・村上威(2年)が思い切ってバットを振り、相手遊撃手のエラーを誘って1点を返したシーンでは、ベンチのみならずスタンドもこの試合一番の歓声に包まれた。
それよりも彼らが素晴らしかったのは「やるべきことをする」意識が1時間47分の間、全くぶれなかったことである。
1つ例をあげればフライの距離判断がつきにくい卓球部員の小池隼左翼手(3年)には、抜群の打球判断でセンターの位置から木村洸希(2年)が脱兎のごとくカバーリング。
それに対し、小池は野球未経験者にもかかわらず木村にフライが飛んだ際には、全てバックアップの位置に入っていたのだ。
これには先田寿志監督も「できるようでできないこと」と彼ばかりでなく、野球未経験者たちの実直な行動を高く評価。
4月には数名の新入生が入部し、正規部員だけで夏を闘える予定の今治北大三島だが、野球未経験者たちの示した「やるべきこと」は、毎日野球に携わる我々こそが見習わなければならない姿勢だろう。
(文=寺下友徳)