読谷vs北谷
大兼久(北谷)
春季大会開幕戦
最高気温が25度を越すなど日も差して汗ばむ陽気となった本日、沖縄では春季大会が開催され九州大会出場を目指す熱戦の火蓋が切って落とされた。
開会式直後ということもあり、多くの観客が見守る中、両校のシートノックが行われたが、やはり久しぶりの公式戦であること。
そして開幕戦ということもあり、両校共に緊張して硬い動きが目立った。
独特の緊張感が漂う中、読谷の先攻で始まったこの試合、北谷の先発は新2年生の大兼久徹。
180センチ近い長身の右腕で、すらっとした投手体型が目を引いた。
キレのある直球で押していくタイプの投手だが、やはり開幕戦という緊張感があるのか読谷の先頭打者・知花和弥にあっさりと四球を与えるなど不安な立ち上がり。
続く2番・知花一志の犠打の打球に手が付かず無死一・二塁と更にチャンスを広げられてしまいます。
四球や自らのミスで立ち上がりいきなりのピンチを迎えパスボールもあり走者を二・三塁まで進められたが、ここで良い意味で開き直ったのか後続の打者を三振と内野ゴロ2つに打ち取り、このピンチを切り抜ける。
北谷の4番・田場尚
先制機を逸した読谷だが、その先発は伊礼。
小柄ながら充実した太ももから球威を感じさせる直球を投げ、球を動かしつつ打てせて取る投手。
こちらも緊張感を感じさせる立ち上がりで、北谷の1番・大城準己に四球を与える不安な立ち上がり。
更に死球やパスボールもあって1死一、三塁とピンチを迎え、打席には北谷の4番・田場尚。当たりこそ決して良くなかったものの叩きつけた打球は一,二塁間を抜け、北谷が1点を先制。まず試合の流れを掴んだ。
3回にも先頭の1番・大城がツーベースを放ち追加点のチャンスを作り、送りバントで3塁に進めると3番・名嘉山樹の犠牲フライで1点を追加。
しかし、序盤こそ緊張からかやや不安定だった両投手だが、制球も安定し徐々に本来の投球が出せるようになり走者を出しても粘り強く抑え、どちらも点を与えない。試合はこう着状態に
こうなると次の1点がどちらに入るのかが重要になってくるが、その1点を入れたのは読谷だった。
やや疲れを見せるようになった大兼久は先頭打者の知花一に死球を与えると、盗塁と送りバントで一死三塁とする。
そして打席に立つのは投手としても奮投している4番・伊礼。鋭い当たりだったもののセンター正面という打球。
しかし、犠牲フライには十分でようやく読谷が1点を返し、反撃に出る。
しかし、直後の8回裏。先頭の田場がセンターへ綺麗に弾くと、送りバントの後、二連打で北谷にとっては大きい、読谷にとっては非常に痛い1点が入った。
読谷の先発・伊礼
この1点で試合は決まったかに思えたが、読谷打線は諦めない。
9回、先頭の波平が二塁打を放ちチームに勢いをもたらすと、送りバントで1死三塁に。ここで代打で出場した仲村誉士がタイムリーとなるツーベースを放ちその差を1点差とする。
これで一気に流れを掴むと、波平を三塁まで進め、知花一がこの回途中から登板した野原涼太投手の高めに甘く入ってきた直球をセンターへと弾き返し土壇場の9回に同点に追い付いた。
一気に逆転とはならなかったが、味方が追い付いてくれたことで読谷の先発伊礼は躍動し始める。
疲れこそ見えるものの高い集中力と気迫で北谷打線に点を許さない。
特に10回は無死三塁と絶対絶命のピンチから、相手の4,5,6番を打ち取るなど見事な投球を見せる。
この気迫に応えたい読谷打線は、12回の一死から知花一がセンター前のヒットで出ると、パスボールで後ろへ逸らしている間に三塁まで進み勝ち越しのチャンスを作ります。そして3番・又吉進也がセンターへ抜けるタイムリーを放ちついに読谷が勝ち越し、この試合初めてのリードを奪う。
伊礼は、12回裏は先頭をエラーで出塁を許すも、後続を打ち取り試合終了。
読谷は12回を投げ抜いた伊礼の熱投と試合を諦めないしぶとい野球で初戦を突破した。
春季大会がより一層盛り上がることを暗示させるような開幕戦から延長に突入するという熱い試合となった。
今後も多くの好試合を見られることを期待したい。
(文=PN 山原)