東海大相模vs水城
近藤のタイムリーで先制のホームを踏む渡辺(東海大相模)
夏の甲子園の再戦は、東海大相模が水城を返り討ち
約3カ月前の8月11日、甲子園大会の1回戦で対戦した両チームの再戦となった。(2010年8月11日)
ちなみに、その時は東海大相模が序盤に得点を重ねて10-5で勝っている。東海大相模は、周知のようにこれで勢いに乗って、決勝まで進出していくのだが、そのチームは“アグレッシブベースボール”を提唱していた。
準優勝した甲子園から帰ってきて新チームがスタートしたのだが、門馬敬治監督はこの試合の前日のミーティングで初めて、新チームにもその言葉を使ったという。それは、「やっと、その意識が表れるチームになってきたから」という判断だった。そして、選手たちは、その言葉に従うかのように、初回からアグレッシブ(積極的、意欲的)な攻撃を見せた。
初回の東海大相模は先頭の渡辺勝君が右前打で出るとすかさず二塁盗塁を決める。内野ゴロで三塁へ進むと、セーフティスクイズは失敗したものの、2死三塁から四番佐藤大貢君が左前打して先制。2回にも、六番近藤正崇君が中前打すると、バントと内野ゴロで三塁まで進めると、橋本君が三遊間を破って返した。まさに、積極的な仕掛けが功を奏した。
しかし、水城の先発佐藤賢君も、徐々に自分のリズムをつかんいで行く。そして、守りから攻撃のリズムを掴みたい水城だったが5回、五番海老澤君が右前打で出ると、バントで進め、八番佐藤大君の左前打で1点を返した。流れは、水城に傾きかかった。
4番佐藤大貢主将(東海大相模)
これを察知した東海大相模の主将・佐藤大貢君かベンチでしきりに、
「相手の流れになってきているから、ここで変えて行こう」
と声をかけていたという。そして6回、その佐藤君自らが三塁強襲打で出て口火を切ると、「よし、続いていけ!」とベンチも活気づいた。続く菅野剛志君がその期待に応えて、右越2ランを放った。
この一発で再び流れを引き寄せた東海大相模は8回にも佐藤君の中前打から火がついて、森下君、松本君と下位打線もしっかりと打って4点をもぎ取ってそのままコールドゲームとした。
前半の展開からすれば、ちょっと考えられない結果になったが、それだけ東海大相模の切り替えからの勢いがよかったということであろう。門馬監督の提唱する“アグレッシブベースボール”を実行したといっていい。
水城は夏の甲子園では、1年生で三・四番を組んで、注目の一二三慎太投手(阪神ドラフト2位指名)から、それぞれ2安打ずつした小野瀬大勝君、萩谷直人君に期待が集まった。しかし、この試合では、初回の小野瀬君が併殺に倒れたのをはじめ完全に抑え込まれた形になってしまった。
結果的には、初回と5回に2本の安打が出たのみの3安打にとどまってしまった。それでも、今回の4強進出で来春のセンバツ初出場もほぼ手中にした形になった水城。来春へ向けて、ベテラン橋本實監督が、どう仕上げてくるのか楽しみでもある。