龍谷vs秀岳館
雨がつよくなり試合中断
わずかに流れを傾かせたものは…
昨日は7インング途中まで進み、雨天ノーゲーム。
再試合となったこの日もぐずついた空模様のなか、開始予定時刻より20分遅れで始まった。
「昨日痛い走塁ミスがあったので、今日は3塁コーチャーとランナーのコミュニケーションをしっかり、積極的にいこう」と指示したと龍谷•徳山誠一郎監督。
序盤は、両チームとも走塁やサインミスなどが続き、昨日の流れを引きずる展開。
次第に、天候も昨日と同じように、悪くなっていく。4回からはグランドに水が浮き始める。6回裏2死1塁の場面で、さらに雨が強くなり、試合は中断。
「こんなに長い中断は選手時代も経験がない」と龍谷•徳山監督がいうように、それは2時間42分にも及んだ。
この長い中断が、龍谷の選手たちに変化をもたらす。
「中断中は井口副部長にまかせていた。2時間後を目処に再開ということで、一回緊張をといていいよ指示をだし、選手とは離れていた。監督がそこにいない方が、リラックスできるでしょうから」と就任3年目となる若い徳山監督は笑う。
9時20分に始まった試合。雨も小降りになりようやく試合再開の頃には、時計の針は13時47分を指していた。
そして、ここから試合が動きだす。
6回裏、龍谷の攻撃•2死一塁から5番水田一輝がセンター前に運ぶ。6番金沢達哉もレフト前に痛烈に放った。ホームへ突っ込むのには浅い。しかし、2塁ランナー堤裕貴は、状態の悪いグランドに足を取られながらも一気にホームを狙う。レフトからも好返球がかえってくるが、堤が、うまく捕手のブロックをかいくぐり、龍谷が待望の先取点をもぎ取った。
昨日の試合から数え、13イニング目にして初めて試合が動いた。
2日続けての秀岳館•鈴木
直後の7回に秀岳館も7番玉本健太、8番鈴木裕史がヒット、2塁打で。遠かったホームを一気にたぐり寄せる同点とする。
「同点にされてしまったけど、ベンチの雰囲気は悪くなかった。声も出ていた」と龍谷先発•砥川晃起。
その砥川が、7回裏先頭打者として四球を選ぶ。
「思わず出てしまった」と四球を選んだ直後には、龍谷ベンチに向けてガッツポーズで吠えた。犠打のあと、2番•松尾公洋が、浅めに守ったライトの前に弾き返す。2塁ランナー砥川が、先ほどの堤に続き思い切った走塁を見せる。ライトからの返球は、3塁側に逸れ龍谷が再びリードを奪った。
この二つの走塁について、「外野の芝もだいぶ濡れていたし、多少浅くても何とかなると思っていた。試合前から言っていたことを選手たちがやってくれた」と徳山監督。
8回からは、エース古賀万太郎が2イニングを抑え、龍谷が2日間にも渡る接戦を制した。
両チームとも試合序盤は、走塁、バント失敗などミスが続き、傾きかけた流れを引き寄せられない展開が続いた。
秀岳館は 、6回表には無死3塁、1死満塁の絶好のチャンスをつくるも、後続を絶たれて試合の主導権を握れない。掴めそうで掴めない試合の流れに、「狙い球を絞っていたが、各打者が消極的になってしまった」と首をひねった秀岳館•久木田監督。
そして試合再開後、すぐに試合は動いた。
やはり、2時間を超える中断の影響は、大きかったろう。
再開後の龍谷は、試合前半とは違い、初球からバットを振り、件の走塁など積極的なプレーが続いた。
どちらに転んでもおかしくなかった試合の流れ。それを、ほんのわずかに傾むかせたのは龍谷のこの積極性にだったかもしれない。
(文・撮影img01~07=藤吉 ミチオ)
(撮影img08~=高校野球情報.com 編集部)