創志学園vs広島国際学院
創志学園、富田一成投手
創部1年目!1年生軍団がベスト4へ進出
今春創部したばかりの創志学園が、接戦を制してベスト4進出を決めた。
1年生軍団が、またもしびれる試合を見せた。今大会屈指の右腕・今井金太投手(1年)の立ち上がりを攻めて2点。6回に1点を返されたが、雨の中最後まで守りきった。
「攻めるなら立ち上がりしかないと思っていたので良かったです」
長沢宏行監督が、頬を緩める。
05年センバツで神村学園を準優勝に導いた名将。この春、創志学園野球部の初代監督に就いた。部員28人は、地元岡山をはじめ、兵庫、大阪の選手も在籍。夏は初戦敗退だったが、秋に夏の甲子園出場校・倉敷商に勝利し、一気に決勝まで勝ち上がった。
練習は系列の環太平洋大のグラウンドを使用。マシンもなく環境は決して恵まれていない。
今日の今井投手のストレートは最速143キロをマークするが「スライダーもいいし、あんなにいいボールは練習で打つ機会すらない。初回に点が入って本当によかったですよ」と喜んだ。
自らの“不注意”も乗り越えた。6回、2死一塁の場面で長沢監督が投手交代を申し出た。しかし、伝令役の部員が主審に交代選手を間違えて伝えてしまったのだ。当然再交代は認められず「いやー恥ずかしかったね。反省しています」と指揮官。危うく継投ミスで相手に流れがいくところを、7回から再登板した富田一成投手(1年)が粘り強く凌いだ。広島国際学院は三塁まで5度も走者を進めたが、生かせたのは1度だけ。創志学園の辛抱強さに屈した。
1回戦の松江商戦も延長11回、3-2と競り勝ち。野山慎介主将(1年)は「接戦が得意になってきた。県大会よりもどんどん雰囲気が良くなっている」と、チームの成長を感じている。
試合終了直後、1年生たちは大喜び。すると、長沢監督が大長コーチを呼んで「引き締めといてくれ」と厳しい口調で言った。
「まだ中学4年生ですから…。試合中はあんまり厳しいことは言わないけど、とにかく一戦必勝で戦います」(長沢監督)
あと1勝でセンバツ当確ランプがつく。史上初、1年生だけで挑むセンバツへ大きな期待がふくらむ。
(文・撮影img01~img03=矢島 彩)
(撮影img04~img36=中谷 明)