聖光学院vs日大東北
16奪三振の快投歳内宏明(聖光学院)
県内55連勝で東北大会に挑む
聖光学院が10-0で日大東北に快勝。県内の公式戦55連勝で5年連続8度目の優勝を飾った。
エース右腕・歳内宏明(2年)が先発。被安打5、16奪三振の快投を見せた。
歳内は今大会は4試合中3試合に先発。
初戦の光南戦で20個の三振を奪ってスタートを切ると、続く白河戦で10個、そして、この日の奪三振は16ということで計46個もの三振を奪った。
歳内本人は「三振は意識していません」とこだわりはない様子だが、武器のスプリット(SSF)が威力を発揮しているのは間違いない。
どうしても、歳内に注目が集まるが、打撃陣が強力だからこそ圧勝劇を続けた。
甲子園が8月15日に終了。
他チームよりも新チームのスタートは遅かった。
そのため、斎藤智也監督は県大会の組み合わせ抽選会で
「ピッチャーは計算がたつ。打撃陣で試合を作ると言っているけど、期待はしていない。個々の能力はいいのもがあるけど、まだ未熟。ピッチャーに依存してちゃダメ。でも、未知数な分、楽しみな部分もある」と話していた。
蓋を開けてみると、4試合で34得点。長打の内訳は本塁打1本、三塁打8本、二塁打10本。準決勝では三塁打が5本も飛び出した。秋の時点でこれだけの長打力を誇っている。
決勝後、斎藤監督は「経験がないわりに落ち着いている」とチームを評価した。
そして、エース・歳内への信頼を口にしながらも「周りの(東北大会優勝でセンバツ出場を)決めてくれるだろうという期待を感じるが、それにはまると落とし穴にはまる。歳内も場数を踏んでプレッシャーを克服しているが、そう簡単にいく世界じゃない」と話した。
それでも、「行く時に行かないとダメ。行くタイミングは今。ここで勝負をかけないと。(優勝の)旗を取るためにも1試合をおろそかにしないで、足下を見つめていきたい」と語った。
選手たちに「力は全くないんだぞ」とハッパをかける一方、本音もちらりと見える。自信は持っても、過信はいけない。そこのコントロールを重視する指揮官。
歳内にも常に「天狗になるな」という話しをしている。
中村星太主将(聖光学院)
今大会、天候の影響で決勝戦は千葉国体終了後だった。
県大会準決勝(2010年09月24日)で東北大会出場を決めた後、甲子園ベスト8に力強くけん引した3年生最後の練習を行った。県大会と国体の二足のわらじ。
「心の置き方が難しかった。3年生のチームも大事にしないといけない。効率の悪い日々が続いたが、3年生は(新チームに)いろんな勉強をする機会を与えてくれた。新チームは一緒に練習することで見えなかったものが見え、いい空気を吸えたと思う」(斎藤監督)。国体のために練習を続ける3年生から新チームは、「戦う志を得た」と言う。
Bチーム時代からキャプテンを務めてきた中村星太主将(2年)が「力はないですけど、1試合1試合、足下を見つめてどろくさく必死にやっていきたい。東北大会は優勝して神宮大会とセンバツに出たい」と言えば、歳内も「センバツに出て優勝することが目標なので、東北大会の(優勝)旗を取りに行くためにチャレンジする」と意気込んだ。
今夏、優勝候補に挙げられた広陵(広島)(2010年08月12日)、履正社(大阪)(2010年08月16日)を破って8強入りしたことに満足している選手は1人もいない。目標の「全国制覇」に届かなかった――。その事実が聖光学院を強くしている。
(文=高橋 昌江)