試合レポート

福知山成美vs立命館宇治

2010.09.25

2010年09月25日 太陽が丘球場

福知山成美vs立命館宇治

2010年秋の大会 秋季京都府大会 二次戦 2回戦

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桑原将志(福知山成美)

初回の攻防と終盤の攻防

 福知山成美・田所孝二、立命館宇治・卯滝逸夫両監督はまずポイントを初回に挙げた。

 「ウチは先攻。一次戦を経験しているとはいえ、二次戦の雰囲気に投手が慣れるのには時間がかかる」と読んでいた田所監督。

その狙いは見事に的中する。立命館宇治のエース左腕・福本拓也(2年)は制球が定まらない。卯滝監督が見つめていたブルペンとは別人のような表情。

その機先を制したのは福知山成美1番打者の幕谷昂大(2年)。4球目を叩くと打球は痛烈なライナーでライト前へ。先頭打者が出るとセオリーは送りバントだが、田所監督は2番の新谷承貴(2年)に対してもじっくりと見ていく指示。7球投げさせたうえに死球を勝ち取った。マウンドの福本はこれで落ち着くタイミングを逸することになる。

 続く3番桑原将志(2年)は近畿地区屈指の強打者。この桑原を意識しすぎストレートの四球で満塁に。4番奥田史弥(3年)には暴投を投じてしまった福本。これは三塁走者を刺す幸運に助けられるが、奥田には死球。そして5番細田治仁(2年)にはストレートで押し出しの四球を与えてしまった。

「あそこまで福本が四死球を出すとは思わなかった」と誤算を口にした卯滝監督。結局2点目も押し出し死球、3点目は内野ゴロの間と、福知山成美はタイムリーなしで3点を先取。さらに2回にも犠牲フライで追加点。相手の乱れから序盤の流れを見事に掴んだ。

とはいえ、試合は序盤。卯滝監督は「4点ぐらいなら返せる」と読んでいた。その言葉通り、4回に3番松井悠真(1年)の一発で反撃の兆しを作ると、5回6回と1点ずつを返し、ついに1点差。この時点で流れは完全に立命館宇治が取り戻していた。

福知山成美のエース・津田響(2年)は「緊張していたのか、投球フォームが固まらず、コントロールが定まらなかった」と自分のピッチングを模索していた。ワインドアップやセットポジション、さらにはノーワインドと様々な投球フォームを使っていたのはこのためだ。


津田響(福知山成美)

差はわずかに1点。立命館宇治がこのまま飲み込むのか?それとも福知山成美が踏ん張るのか?

7回表、一つのヒットが流れを再び変えた。打ったのは福知山成美の主将・桑原。セカンドのグラブをかすめる痛烈なライナーでの一撃に。送りバントで二塁に進むと、今度は「自分の判断で」という三盗を成功させる。

結局この回は得点に繋がらなかったが、4回以降ノーヒットだったチーム、さらにはエースにも勇気を与えた。

 「終盤はフォームも固まりだして吹っ切れた」という津田は、7回8回とピンチを背負ったが、気合みなぎるピッチングで凌ぐ。

 そして9回に出た主将の一発。

 「打ったのはスライダー。まさか入るとは思わなかった」と桑原は振り返ったが、立命館宇治サイドが最も警戒していた打者に打たれたショックは誰の目にも明らかだった。その後は守備の乱れにもあり、さらに2点が福知山成美に入った。

 9回を投げ切った津田は試合後のキャッチボールで、力を使い果たしたかのように手を膝についた。

 「津田が良く投げてくれたおかげ」とエースを讃えた主将の桑原。

その桑原の存在を意識しすぎてしまった立命館宇治・卯滝監督は「また出直します」と肩を落とし、選手はすぐに学校のグランドに戻った。

昨秋決勝で戦った実力校同士の一戦は福知山成美に軍配が上がった。

(文=松倉 雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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