試合レポート

名西vs板野

2010.07.14

2010年07月13日 オロナミンC球場  

名西vs板野

2010年夏の大会 第92回徳島大会 1回戦

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勝利のハイタッチ

成長続ける名西、徳島大会「台風の目」へ

名西の右腕・上﨑健太、板野の左腕・切上貴人という3年生好投手が激突した雨中の一戦。3回表、名西は犠打を挟む4連打で3点を先制すると、続く4回にも2番手・佐藤舜(3年)から先制打をマークした上﨑のタイムリーで主導権を握った。板野も3回に1点、5回に3番・木村早寿(3年)のタイムリー2塁打などで2点を奪い上﨑を追い込むが、名西は直後の6回にこの日3安打3打点目となる上﨑のタイムリーや、7番・後藤田侑也(3年)のスクイズなど好機を逃さない攻めでさらに3点を追加し勝利を手に。一方の板野は「制球が悪かった」切上をバックが4失策とカバーできず初戦で涙を呑んだ。

【インサイドコラム】
6月に開催された総体協賛中央ブロック大会Bでも鳴門第一をコールドで破り、鳴門工とも接戦を演じるなど成長著しい選手15人の名西。その勢いは大会屈指の左腕・切上貴人(3年)擁する板野との初戦でも健在だった。

「これまでは切上くんと対戦すると自滅していたが、学校のピッチングマシンが壊れていてボールが沈んだり浮いたりするので、それがよかったのかも」と矢川雅英監督は冗談とも本気ともつかない表現で勝因を分析したが、初回から切上に26球を投げさせた粘り強さ、「野球をよく知っている」と指揮官をも感心させた7回1死満塁からの後藤田侑也(3年)のスクイズ成功に代表されるソツのない攻撃や、雨中ゲームの鉄則である足を使った攻撃的な守備に徹する彼らは、もうミスがミスを呼びコールド負けを繰り返していた半年前とは別人格である。

その代表格がエースの上﨑健太(3年)だ。これまでは最速138キロの直球へのこだわりから痛打を浴びる場面も多かったが、この日は「昨日、ブルペンで岡崎智仁(3年)から教えてもらった」カットボールやスローカーブを有効に使い「ストレートが浮いたり沈んだりしていたので調整しながら投げる」頭脳的投球も披露。その中でもエースで4番同士である切上との対決では「ストレートで勝負してくれたので、ストレートで応えた」こだわりを見せた彼の表情は、「夏は特別な大会。僕が不甲斐なかったらチームが終わってしまうので一段ギアが入った」エースの責任感に満ちていた。

さて、この快勝により完全に徳島大会「台風の目」となった名西の次なる対戦相手は徳島商池田の勝者。いずれが勝ち上がってきても全国にも名を知られる強豪との対戦である。ただし、「どっちが来ても楽しみにしている」矢川監督をはじめ、チームはあくまで自然体で戦う構え。もし、真価が問われる一戦を越えることができれば、名西は「台風の目」以上の称号を手にすることになるだろう。

(文=寺下 友徳


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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