試合レポート

日高中津vs那賀

2009.07.18

2009年07月19日 紀三井寺球場

那賀vs新宮

2009年夏の大会 第91回和歌山大会 2回戦

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試合シーン

準優勝から1年、今年こそ初優勝!

去年夏、6年ぶりに決勝へ進出したものの、6年前と同じく智弁和歌山に敗れた日高中津(日高高校中津分校)。1997年第69回春の選抜で、分校から甲子園に出場した野球部として話題になりました。1984年に5人からスタートした野球部も、夏の和歌山大会は準優勝5回、ベスト4が3回、ベスト8が2回と強豪校のひとつに数えられるようになり、部員数も県内最多の70人。昨夏の決勝で智弁和歌山に3対5で敗れたところから、今夏の大会に向けての練習が始まりました。その日高中津の初戦は大会8日目。和歌山大会に参加した39校の中で最後の登場でした。相手は、2年連続初戦突破の那賀。右サイドスローのエース井端 久則は、昨夏も2年生ながら2試合に先発。緩急をつけて伸びのあるストレートとキレのある変化球をコントロール良く投げ、打たせてとるタイプ。先制点を取られると手ごわい相手です。試合が動いたのは、3回。那賀の2番・小石と3番・山本 善貴が、ピッチャー返しのセンター前ヒットを連続で放ち2アウト1・2塁にするとワイルドピッチ。ランナーがそれぞれ進塁しようとしたところを、日高中津のキャッチャーが、3塁に悪送球。サードのバックアップをしたレフトも後逸して、2塁ランナーが3塁をまわってホームイン。守りのミスから那賀に、先制点を奪われます。

これで目が覚めたのか、2回まで那賀のエース井端に3つの三振を含むノーヒットに抑えこまれていた日高中津打線が、その裏につながります。9番・中井がチーム初安打のレフト前ヒットを打って盗塁で2塁に進み、2番の2年・安里のライト前ヒットで2アウト1・3塁とし、3番・森 春樹がレフト前タイムリー。すぐに1対1の同点に追いつきます。これに対して那賀も、4回1アウトから6番・井上の内野安打と盗塁でランナー2塁。7番・坂部もライト前ヒットでつないで1・3塁から、2試合連続スタメン出場の1年8番・林がレフト前のタイムリー。追いつかれた那賀か、2対1と勝ちこします。しかし、ここから初優勝に燃える日高中津ナインの気持ちが、バットに籠められます。先頭バッター5番の2年・濱矢が初球をたたいてライトオーバーの2べースで出塁し、送りバントで3塁に進むと、7番・斉藤がレフト前に同点タイムリー。さらに8番・藤木のライト前ヒットで那賀のライトが打球を後逸。2アウト1・3塁から1番の1年・赤ザキがレフト前に勝ち越しのタイムリー。日高中津が2対1と逆転に成功します。これで初戦の緊張もほぐれて落ち着いた日高中津は5回、4番・羽佐がデットボールと盗塁で2塁に進み、5番の2年・濱矢が、上手い流し打ちでレフト前ヒット。ノーアウト1・3塁で迎えるバッターは、キャプテン6番の里和。里和は、左足モモの裏の肉離れで、あまり走れない状態での出場でしたが、しっかりとスクイズを決めて、4対2とリードを広げます。さらに7回、2打席目でタイムリーヒットを放っている3番・森 春樹が2本目のヒットをセンター前にはじき返したあと、盗塁でキャッチャーが2塁に悪送球。1アウト・3塁から4番・羽佐がセンターへ犠牲フライ。日高中津が、5対2と確実に得点を重ねます。守っては、スライダー・カーブ・フォーク・カットボールという多彩な変化球とキレのあるストレートをコントロール良く投げ分ける右オーバースローの⑪藤木 優が、12安打を打たれながらも4奪三振・2四球134球の完投。日高中津は、「ピッチャーが2~3点に抑え、5~6点を取って勝つ」という細ザコ監督の考え通りの理想的なゲーム運びで初戦を突破し、3回戦で県和商(県立和歌山商業)と対戦することになりました。今年の日高中津は、野手スタメン8人中3年生が3人。その3人が、準優勝を経験しているとはいえ、2年生だった去年は3年生に引っ張られていた学年だけに、おとなしく真面目。それだけに細ザコ監督は、監督になって4年間のうちで一番怒ったそうです。そのカイあって伸び盛りで怖いもの知らずの1・2年生と3年生がお互いの良いところを引き出し、まとまったねばりのあるチームになりました。勝負どころで力を出し、諦めずに必死になってプレーする伝統の日高中津の分校野球が、2009年・夏の和歌山大会初優勝に向けてスタートを切りました。

(文=田村正浩)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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