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「底辺拡大」へ 関東準硬式野球連盟がリーダーシップの講習会を実施 専門家を招き「多様性」などを議論

2022.03.15

「底辺拡大」へ 関東準硬式野球連盟がリーダーシップの講習会を実施 専門家を招き「多様性」などを議論 | 高校野球ドットコム
講習会の様子

 近年はプロ野球の世界へ選手を輩出するなど、競技レベルが高まり、注目度が年々高まっている大学準硬式野球。関東地区は3月13日より開幕した第64回関東地区大学準硬式野球選手権大会を皮切りに、2022年シーズンが始まる。今大会は慶應義塾大の最速149キロを計測する日比谷 元樹投手(慶應義塾出身)が登板するだけではなく、準々決勝では横浜スタジアムを利用するなど、2022年も見逃せない1年となる。

 それに先立って2月13日、オンラインにて指導者講習会を開催し、関東地区に所属する加盟70チームの主将、そして次期主将候補の計150人ほどが参加。各大学の主将同士が画面越しでディスカッションやこれから迎える就活への心構えなど、約2時間の濃密なプログラムに取り組んだ。

 そのなかでも、参加した各大学の主将が真剣な表情で話を聞いていたのは、ダイバーシティとインクルージョンに関する講座だ。

 バスケットボール・Bリーグで理事を務めるだけではなく、車いすバスケットボールで副会長、そして株式会社TM Futureにて代表取締役を担うなど、多方面で活躍される竹内美奈子氏が進行。組織作りや改革、人材育成を得意という竹内さんは、大学生に向けてダイバーシティとインクルージョンの2つの正しい意味合い、知識の指導に力を注いだ。

 多様性という意味があるダイバーシティに関して、「チームメイトの数だけ多様性がある」ことを主張。それを理解してもらうべく、身近にあるダイバーシティを参加した選手たちに挙げてもらい、まずは自分の普段の生活レベルにダイバーシティが溢れていることを納得してもらった。そのうえで、日本社会ではダイバーシティに対して、どういった取り組みをしているのか、現状に落とし込み、より選手たちへ理解を促した。

 いくつも種類があるダイバーシティのなかでも「重要だと考えています」と竹内さんが話したのはオピニオンダイバーシティ。多様な意見を取り入れていくことだと話す。
 「ダイバーシティの本質の1つは多様な意見を取り入れていくことだと思いますので、リーダーとして多様性を取り入れて、組織に生かすことが大事になると考えています」

 そのためにも、多様性を認めて理解。そして生かしていくことでチームの強みや新たな価値観を生み出す。インクルージョンをさせていくことが、ダイバーシティに並んで求められることを竹内さんは話す。

 「1人1人の強みを結集して組み合わせるチーム作りができれば、個性を発揮できるだけではなく、チーム力に還元できる。足し算を超えたシナジーを生み出せると思います」

 一方で、注意すべき点もあると話す。これまでの経験や知識、価値観が染みついたことで生まれた思い込みや偏見で、人を判断してしまうこと。誰もが持ってしまうというアンコンシャス・バイアスでチームメイトを見てしまうことで「モチベーションの低下や、信頼関係の棄損になってしまうので、個々の能力はもちろん、組織のパフォーマンスが落ちてしまう」と組織もたらすデメリットを丁寧に説明した。

 だからこそ組織の先頭に立つリーダー、チームの主将はコミュニケーションを通じて仲間たちを知ると同時にリスペクトする心を持って接し、強みを引き出す。そして個々の強みを結集させることで、チームを強くしていくということを、最後に竹内さんはまとめた。

 その後、講習会に参加している主将同士でもディスカッションをすると、法政大・浅井 航大主将(都立昭和出身)は「練習時間が短いので、意思疎通を重視することが大切だと思います」と、竹内さんの講習でも出てきたコミュニケーションの重要性を再認識すると、上智大・村田 知優主将(成蹊出身)も「なるべく1対1でチームメイトと対話をしたいと思います」とモチベーション維持にも重要だと語った。

 このほかにも女子選手がプレーするための環境づくりや今後控えている就活に向けての心得。同時進行で、マネジャーを対象にした記録放送講習会も開催されるなど、学生が主体となってプログラムを組み、進行していく。あくまで大学準硬式らしく、学生同士で球界を育てて盛り上げていく姿勢で、2022年シーズンも幕が開けた。

 目先の勝利はもちろんだが、大学卒業後の社会人生活でも活躍できる人財育成も力を入れる大学準硬式から今度はどういった逸材が出てくるのか。各大会の行方とともに楽しみにしていきたい。

(記事:田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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