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ケガをした組織別・修復の目安

2018.08.17

ケガをした組織別・修復の目安 | 高校野球ドットコム
ケガをした組織によって修復期間は変わる

 野球をしていると中には避けられない予測不可能なケガも見受けられます。特にデッドボールや接触プレーなどによるスポーツ外傷はアクシデント的な要素が大きく、ケガをした部位によっては競技復帰までに長い時間を要するものもあります。ケガから回復し、競技復帰するまでに要する時間を組織別に確認してみましょう。

【皮膚】
皮膚は体を外部のあらゆる刺激から守る「バリア」的な役割があり、擦り傷や切り傷などで皮膚の連続性が断たれてしまうとそこから皮膚表面にある雑菌や、外界の病原菌などが容易に体の内部に侵入します。皮膚そのものが修復するにかかる時間は1週間~10日程度といわれています。

【筋肉・腱】
デッドボールやクロスプレーなど直接的な力が加わって痛めてしまう場合と、走っている時や投球時などに筋肉が強い力で伸ばされて、その牽引力に耐えられず、筋線維や腱が断裂してしまう場合とがあります。筋肉は血流の豊富な「血液を含んだスポンジ」であり、筋損傷の多くは内出血・炎症を伴います。損傷の程度によって修復期間に幅がありますが、軽度で2~3週間、重度になると2~3ヶ月を要します。

【靭帯】
 靭帯は骨と骨を結びつける役割を持っていますが、靱帯を痛めてしまうと関節部分を中心にグラグラとした不安感と痛みが出現します。引き伸ばされた靱帯はゆるみ、内部に瘢痕組織(はんこんそしき:かさぶたのようなもの)が加わって、本来の強度を失います。手術ではなく、保存的に治療を行う場合でも靭帯損傷の修復には最低6~8週間の固定が必要とされています。関節動揺性(グラグラ感)が大きい場合は手術によって靭帯を縫合したり、再建といって靱帯を移植したりします。靱帯の手術を受けるときに「全治半年~約1年」と言われることが多いのは、こうした靱帯組織の特性が大きく関わっています。

【骨】
 外傷時に骨を損傷すると骨膜の連続性が断たれて痛みを生じます。骨膜は体の中でも最も強い痛みを感じる部分といわれています。比較的、骨癒合が早いとされている鎖骨や手の中手骨でも、その治癒に最低でも2ヶ月を必要とします。骨折の診断はレントゲン検査やCT検査などによる確認が必要ですが、外傷時は常に骨折を想定した応急処置を行う必要があります。

【神経】
 四肢外傷時に身体の末梢部にしびれや皮膚感覚の低下などが存在すると、神経損傷が疑われます。運動機能が正常であれば、数週間で皮膚感覚は正常に戻りますが、その間にも筋力の低下は起こるといわれています。まったく皮膚感覚が消失している場合は、神経が強く傷んでいるか(挫滅:ざめつ)、神経が断裂している可能性が高く、挫滅の場合は、神経機能が回復するのに約6ヶ月程度かかるといわれています。

参考書籍)「スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害」

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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