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延長タイブレーク、大事なのは監督が楽しむメンタルを持つこと

2018.03.21

延長タイブレーク、大事なのは監督が楽しむメンタルを持つこと | 高校野球ドットコム

 今年から延長13回からのタイブレークが本格導入される高校野球。何人かの監督や指導者と話していて感じるのは、『結局、タイブレークは監督が一番頭を使う』『監督がタイブレークでの戦術の引き出しをどれだけ持っているか』『監督がタイブレークになってバタバタしない』という3点です。先攻が有利か後攻が有利かをいくら考えても、試合前のじゃんけんでは13回以降まで試合がもつれる計算はさすがにしないですよね。これが10回からのタイブレークなら、また違うのかもしれません。かつて全日本大学選手権で延長10回タイブレークで明治大学を破った関西国際大学の鈴木英之監督が、「明治に勝つには0対0でいってタイブレークしかないと思っていた」とコメントしたことがありました。ただ、やはり13回からのタイブレークならば、違った戦略になったと思います。

 さて、タイブレークは継続打順。その直前の12回にどんな打順なのかがカギを握るかもしれません。特に後攻は12回裏の攻撃で打順調整をすることができます。一例を挙げてみましょう。

・12回裏、2アウト1塁。打者が6番で一塁走者が5番だったとします。
・この場面で6番がアウトになれば、次のタイブレークは下位打線となる7番から。

そうなればこんな手を打つことができます。

・一塁走者にアウトOKで盗塁させる。
・セーフになれば得点圏に走者が進むので良し
・アウトになっても次は同じ6番からの攻撃ができる

 この一例。実はアメリカンフットボールの考え方に少し似ているんですね。

 今年のNFLスーパーボウルでもこんな場面がありました。

(1)2ndDownでこのプレーをやってタッチダウンを取れればそれで良し。
(2)ダメでも、3rdDownでとっておきのスペシャルプレーを使う。
(3)これを2ndDownの前に決めておいて、3rdDownタイムアウトをとることまで決めておく。

 どうでしょう。似ていませんか?実際に2ndDownでタッチダウンを取れず、3rdDownでとっておきのスペシャルプレーを使い、相手を見事に翻弄してタッチダウンを取りました。

 これはあくまでも一例ですが、こういった感じで監督がより多くの戦術の引き出しを持っておくこと。高校野球は大学や社会人と違ってコーチがベンチに入れず、ベンチに入れる大人は監督と責任教師だけです。責任教師がコーチを兼ねる場合は相談もできますが、基本は監督が一人で決めなくてはいけません。監督の目線で考えられいざという時に相談できる選手を育てて、ベンチに入れておくことも一つの手ではありますが。。

 タイブレークは監督の戦術の引き出しの差が勝敗に直結するかもしれません。こうやって机上で考えることも大事ですが、一つでも多くタイブレークを見てほしいと思います。

 そして、タイブレークでの勝敗に関しては監督が全責任を持つことを選手にあらかじめ伝えておくのも大事です。

 導入が決定したタイブレーク。もう、導入の是非に関してあれこれ言っても仕方ありません。監督がタイブレークで胃が痛くなるようではダメです。楽しむ。それが全てだと思います。監督がタイブレークを楽しみましょう。

 ただし、あくまでも野球は9回で勝ち負けを決めるのが理想です。それだけは忘れてはいけませんね。

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(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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