なぜサスペンデッドという選択肢がないのか?

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2017.06.16

なぜサスペンデッド(一時停止試合)という選択肢がないのか?

 高校野球、甲子園大会でのタイブレーク導入が濃厚のニュース。「なぜ、サスペンデッド(一時停止試合)という選択肢がないのか」と思われた方も多いのではないでしょうか。そこでサスペンデッドについて考えてみたいと思います。

 まずは公認野球規則(7.02)に記載されているサスペンデッドからおさらいしてみます。

a) 試合が次の理由のうちどれかによって打ち切りを命じた場合、後日これを完了することを条件としたサスペンデッドゲームとなる。

1.法律による娯楽制限。
2.リーグ規約による時間制限。
3.照明の故障またはホームクラブが管理している競技場の機械的な装置(たとえば開閉式屋根、自動キャンバス被覆装置などの排水設備)の故障(オペレーターの過失を含む。)
4.暗くなったのに法律によって照明の使用が許されていないため、試合続行が不可能となった場合。
5.天候状態のために、正式試合のある回の途中でコールドゲームを宣せられた試合で、打ち切られた回の表にビジティングチームがリードを奪う得点を記録したが、ホームチームがリードを奪い返すことができなかった場合。
6.正式試合として成立した後に、同点で打ち切られた場合。

c) 続行試合は、もとの試合の停止された箇所から再開しなければならない。すなわち停止試合を完了させるということは一時停止された試合を継続して行うことを意味するものであるから両チームの出場者と打撃順は停止されたときと同一にしなければならないが、規則によって認められる交代はもちろん可能である。従って、停止試合に出場しなかったプレーヤーならば続行試合に代わって出場することができるが停止試合に一旦出場して他のプレーヤーと代わって退いたプレーヤーは続行試合には出場することはできない。停止された試合のメンバーとして登録されていなかったプレーヤーでも続行試合のメンバーとして登録されればその試合には出場できる。さらに、続行試合の出場資格を失ったプレーヤー(停止状態に出場し、他のプレーヤーと代わって退いたため)の登録が抹消されてその代わりとして登録された者でも続行試合には出場できる。

【注】 我が国では、サスペンデッドゲームについては、所属する団体の規定に従う。

 最後の、≪所属する団体の規定に従う≫というのがポイントです。高校野球では2014年に全国軟式選手権でサスペンデッド適用による延長50回の激闘があった後、高校野球特別規則25に、「サスペンデッドは高校野球では適用せず」と明記されました。稀なことではありましたが、3日間に渡って決着がつかない事例が発生したことで、「サスペンデッドは限界があるのでは」と判断されたためです。今回のタイブレーク導入の協議の中でもサスペンデッドは議題にあがりませんでした。

 サスペンデッドにはリスクがあります。上記の公認野球規則(7.02c)をご覧いただければ。おわかりいただけると思うですが、サスペンデッドとなる前に交代した選手は、翌日の続行試合で出場することができないのです。

 例えばサスペンデッドとなる前に交代選手を全て使い切ったとします。翌日の続行試合で出場できるのは9人だけ。そんな状況で一夜明けると、体調面の変化や試合前のケガなどで出場できなくなる可能性が出てきます。続行試合と言えど、開始前にはシートノックをするわけですから、そこでケガをして出場できなくなってしまえば、その瞬間に棄権となり、没収試合となってしまいます。一夜明けるということはそんなリスクを伴うわけです。

 元気いっぱいの選手がいるのに、すでに交代してしまったため出場できない。それで棄権となればあまりにも残酷なのではないでしょうか。もちろん、監督の責任と言えばそれまでですが・・・
「そんな確率の低いことを言われても」と思われるかもしれませんが、可能性が0%でない限りは考えておかなくてはいけないと思います。現に延長50回や、今春の選抜の2試合連続延長15回引き分け再試合は誰も考え付かないことでした。しかし、可能性は0%ではなく、そのままにしておけば、また発生することがあり得るのです。

 サスペンデッドでは他にテニスやゴルフで採用されています。野球と違う部分として、基本的には個人競技(テニスのダブルスを除く)というのが挙げられます。

 途中の選手交代という概念はテニスやゴルフにはありません。よって、チームスポーツで選手交代が頻繁にある野球とは状況が違うということがわかっていただけるのではないでしょうか。

 今の高校野球のルールでは、サスペンデッドはありません。

(文:松倉 雄太)

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