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実例から学ぶ、タイブレーク中の心理状況

2017.06.15

実例から学ぶ、タイブレーク中の心理状況 | 高校野球ドットコム

実例から学ぶ、タイブレーク中の心理状況

 先日終了した「全日本大学野球選手権」では全27試合中5試合が延長タイブレーク方式での決着となりました。

 今日はその事例を挙げながら高校野球のタイブレークについても考えてみたいと思います。
なお、大学は延長10回1アウト満塁から、高校は延長10回or13回でノーアウト一、二塁からと、シチュエーションに違いがあることをご理解ください。

1回戦
東京農業大学北海道オホーツク
100 101 000 1 =4
200 000 001 2x=5
福井工業大学
(10回、タイブレーク後攻がサヨナラ)

1回戦
中部大学
000 000 100 03 =4
000 001 000 00 =1
近畿大学工学部
(11回、タイブレーク先攻勝利)

2回戦
上武大学
110 010 000 2 =5
000 000 210 1 =4
福井工業大学
(10回、タイブレーク先攻勝利)

準々決勝
立教大学
000 000 021 1 =4
100 200 000 0 =3
天理大学
(10回、タイブレーク先攻勝利)

準決勝
国際武道大学
000 000 200 1 =3
000 010 010 0 =2
上武大学
(延長10回タイブレーク先攻勝利)

 5試合中4試合で先攻が勝利しました。明治神宮大会大学の部や社会人野球でも1アウト満塁からスタートしますが、このシチュエーションなら先攻チームの方の勝率が若干高い印象です。以前、あるチームの選手がこんなことを言っていたのを思い出します。

[page_break:実例から学ぶ、タイブレーク中の心理状況]

「タイブレークは先に攻めた後に守りたい。攻めて点が取れなくて、サヨナラ負けしたのなら仕方ないです。でも先に守って失点すると、それが最少失点だったとしても裏の攻撃がプレッシャーになる」。

 次に、5試合中4試合はタイブレーク1イニング目で決着しています。唯一、2イニング目に突入した中部大学vs近畿大学工学部は、1イニング目の先頭打者が両チームとも三振でした。また、準々決勝で勝利した立教大学、準決勝で勝利した国際武道大学はともに相手の最初の打者から三振を奪っています。

 このように、≪投手が三振を奪える≫、さらに≪ストライクを取れる投手≫というのが大事な要素なのではないでしょうか。逆に最悪なのは投手の暴投や四死球です。満塁なら、即失点に繋がります。

 さらにもう一つ挙げると、タイブレークを2試合戦った福井工業大学と上武大学は、ともに2試合目に敗れています。昨年は関西国際大学がタイブレークで2勝しましたが、3戦目もタイブレークになり敗れました。何試合もタイブレークを戦うと、攻め方、守り方に傾向が出てきて段々苦しくなってくるということが取材をしていての感想です。

 最後にタイブレークを経験した投手の声。国際武道大学のリリーフ・平川裕太投手(3年・東海大浦安)のコメントです。

「タイブレークは(千葉県大学野球の)リーグ戦の時にも何試合かやってきて慣れてきた部分もあります。でもリーグ戦ではタイブレークで2敗しました。2敗のうち、一つは犠牲フライ1本で負け、もう一つは3イニングくらい続いて自分が投げ負けた。タイブレークは自分が出したランナーではないので、そこは割り切ってやるしかないと思います。ただ、3イニング目まで続くと精神的にキツイ。早いイニングで終われればという思いはあります」。

 高校野球、[stadium]甲子園[/stadium]で導入が有力となっているタイブレークとは若干シチュエーションが違います。でも、考え方など少し参考になることがあるのではないでしょうか。タイブレークが賛成か反対かは別にして、色々と考えて見る良いきっかけになればと思います。

(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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