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高校野球からラグビーへ「運命の転身」 元球児で花園出場した松山聖陵・山口真之介【前編】

2020.03.22

 新型コロナウイルスの影響により形式には変化が生じているものの、3月1日(日)を中心に全国各地で行われている「高校卒業式」。スタジアムを沸かせた高校球児たちも、次のステップへ向かって巣立ちの時を迎えようとしている。

 一方、昨年2年連続センバツ出場を果たした松山聖陵(愛媛)ではこんな「元高校球児」が卒業式を迎えた。彼の名は181センチ98キロの堂々たる体格を誇る山口 真之介(やまぐち・しんのすけ)。ただ、彼が背番号「5」をまとって3年時に出場した全国大会は「甲子園」ではない。

花園に出場した「元高校球児」

高校野球からラグビーへ「運命の転身」 元球児で花園出場した松山聖陵・山口真之介【前編】 | 高校野球ドットコム
ラグビーボールを手に笑顔の松山聖陵ラグビー部3年・山口 真之介(ロック)

 季節は冬、場所は大阪府東大阪市。そう、山口選手はラグビー部の一員として「第99回全国高等学校ラグビーフットボール大会」に出場。高校ラガーマンにとって憧れの地である「花園」でプレーしたのだ。

 では旭川龍谷(北北海道)を破り、ラグビー界の盟主・東福岡(福岡)からも2トライを奪う健闘を見せた松山聖陵のロックは、なぜ野球からラグビーへ転向することになったのだろうか?

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高校野球からラグビーへ「運命の転身」

高校野球からラグビーへ「運命の転身」 元球児で花園出場した松山聖陵・山口真之介【前編】 | 高校野球ドットコム
久々のキャッチボールを楽しむ松山聖陵ラグビー部3年・山口 真之介(ロック)

 「松山市立堀江小2年の時、兄がやっているのにあこがれて始めた」山口 真之介・野球の道。松山市立内宮中では一塁手から投手に転じ、5番打者としても活躍した。しかし、そんな彼の野球人生は最後の中学総体直前に暗転する。

 

 「大会1週間前に右ひじが動かなくなって。そこで医師に診てもらったら小学校5年の時から野球ひじだったことがわかって、そこでトミージョン手術を受けました」

 それでも、野球が心底好きだった彼は高校野球を続ける選択をした。選んだ高校は松山聖陵。1学年先輩には土居 豪人(千葉ロッテマリーンズ)。同級生には根本 大蓮(福井工大進学予定)と大型右腕がそろう中。最初はリハビリに専念した山口は1年秋から練習試合にも登板するまで回復。しかし、昨年12月に「プロ野球愛媛県人会」行事などで里帰りした土居いわく「優しい性格」が逆に彼を苦しめることになる。

 「フォームが固まらなくて毎日考えながらやっていたら、考えすぎて思うように投げられなくなったんです」

 よって2年春のセンバツも山口はベンチ外。土居や一学年下の平安山 陽(2年)らの活躍を「すごいなあ」と思いながらスタンドから見守り、夏を超えていよいよ最高学年へ。ただ、それでもベンチ入りへの道はなかなか見えない。

 ただその半面、そんな山口の堂々たる体格に「可能性がある」と新たな方向を見出している指導者もいた。ラグビー部の渡辺 悠太監督。現役時代は東海大仰星(大阪)で全国制覇。東海大では日本代表主将のリーチ・マイケル(東芝)らと共にプレーした後、1年間の滋賀県内高校での講師を経て2012年に就任した松山聖陵では2015年に花園2勝をあげるなど、着実に全国舞台で結果を残している31歳のニューリーダーである。

 「これまで全くラグビーボールに触ったこともなかったし、考えたこともなかった」(山口)異業界からの誘い。荷川取監督から2週間の時間を与えられた彼は悩みに悩んだ末、「最終的に思い切りできる方でかんばろう」と「運命の転進」を決断したのである。

 今回はここまで。次回は高校野球で学び、ラグビーに活かすことができた事を聞きました。次回もお楽しみに!

記事:寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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