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大阪桐蔭・西谷監督が川端晃希の「野球ノート」に刻んだ言葉

2019.02.06


大阪桐蔭・西谷監督が「野球ノート」に刻んだ言葉

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第33回では2月1日に合同自主トレーニング初日を迎えた四国アイランドリーグplus所属「徳島インディゴソックス」の話題。25歳にしてJFE東日本から新入団した川端 晃希捕手が明かしてくれた大阪桐蔭時代のエピソードについて話を進めます。

「都市対抗4番打者」25歳で独立リーグを選んだ理由

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笑顔を見せる川端晃希選手

 川端 晃希(かわばた・こうき)。1993年10月5日生まれ・178センチ85キロ・右投げ右打。これまでは大阪桐蔭・同志社大といった名門で主軸・正捕手。大学では最終学年で主将を務め、2016年のJFE東日本入社後も2017年の都市対抗ではHondaの補強選手として「4番・指名打者」として7打数2安打1打点。これまでドラフト指名こそなかったものの、強肩強打の右打捕手として同世代のトップランナー的存在でした。

 そんな彼は2018年・ユニフォームを「JFEの24番」から「TOKUSHIMAの26番」へ。そうです、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスへの電撃入団を果たしました。しかも一度は野球から離れる決意を固め「1か月半はサラリーマン生活をしていた」にもかかわらずです。

 「今年一年、我武者羅にNPBはもちろん、リーグ優勝してその先の夢に向かってがんばります。打てる捕手に加えて『勝てる捕手』を見つめて優勝を目指していきます」

 1月31日に徳島県藍住町の「ゆめタウン徳島」で行われた「2019年 徳島インディゴソックス 新入団選手記者会見」ではこのように決意を述べた川端捕手。しかし、都市対抗で4番打者を張った男が、独立リーグに足を踏み入れるには必ず他の強い理由があるはずです。

 実は、川端 晃希選手が捕手をはじめたのは高校時代・大阪桐蔭入学後からでした。15歳からスタートし「高校の監督は(捕手出身の)西谷 浩一先生。大学でも社会人(松下電器<現:パナソニック>でも捕手をされていた渋谷 卓弥さんが監督でしたし、社会人でも中野(大地)さん<2017年で引退>や土屋(遼太)さんと先輩には恵まれていた」11年間。その中でも特に今でも心のよりどころとしているのは「大阪桐蔭時代の野球ノート」と彼は話します。ではいったい、その当時はどういったキャッチボールが行われていたのでしょうか?

[page_break: 西谷監督に教えられた「向上心」胸に四国での闘いへ]

西谷監督に教えられた「向上心」胸に四国での闘いへ

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強気なリードでチームの優勝に貢献する!

 「僕の1年先輩は江村(直也・千葉ロッテマリーンズ)さんだったので、下級生の時はレギュラーをあきらめて『2番手でいいや』と思っている時期もあったんです。その時に野球ノートの返事は普通、文章なのに『2』だけが書いてあって。『なんやこれは。間違っているのかな』と思って翌日ノートで聞いたら、『この背番号はお前にとってなんだ?そんな風に上を目指す気がないなら意味はない。そういう意識がないならグラウンドを去れ』と直接ノートで書かれたことがあります」

 普段、甲子園でのインタビューで見られる温厚さとは正反対とも言える西谷 浩一監督から川端捕手へ「『監視カメラでもあるんちゃうか』と思ってしまった」内面を見透かされた上での叱咤激励。「その時から『どんなときにも上には上がいる。向上心だけは忘れずに上を目指してやっていかないといけないな』となりました。危機感を感じさせてくれたあのノートには感謝しています」と川端捕手は振り返ります。

 「独立リーグは一年一年、一日一日、一秒一秒が勝負だと思うので、社会人よりは緊張感があります。その半面、社会人は基本はトーナメントなのでリードも安全にいかないといけない部分がありますが、強気の攻めを印象付けるためにここではインコースを使いながらリードをしていきたいです」(川端)

 ちなみに昨年末、読み返した野球ノートはあえて大阪府岸和田市の実家においてきた川端捕手。「大学・社会人と大人の野球に触れてきましたが、自分が大阪桐蔭時代に雑草から這い上がってきた気持ちを思い出して独立リーグでプレーしようと思った」気持ちを日々の「自立と自律」で体現し、「まだ徳島インディゴソックスに移籍した報告ができていない」恩師へ「勝てるキャッチャーになりました!」という吉報を届けるために。四国での闘いは秋まで続いていきます。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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