目的意識を持った打撃練習が生んだマルチヒット 安打製造機・韮澤雄也(花咲徳栄)が意識すること
8月30日から開幕した侍ジャパンU-18代表。第1戦のスペイン戦は7回まで0対2の2点ビハインドだったが、8回裏に4点を入れて見事に逆転勝利を決めた。高校野球ドットコムでは本日から試合のキーマンとなったプレイヤーを紹介。まずは花咲徳栄の安打製造機・韮澤雄也に迫っていく。
韮澤雄也(花咲徳栄)
スペインの先発・ルナの前に苦しんだ侍ジャパンU-18代表打線。それは韮澤も例外ではなかった。第1打席は一ゴロ、第2打席は遊ゴロ。いわゆる打たれされる形となっていた。その原因について韮澤はこう語る。
「高めのボール球に手を出してしまいました。また4回裏から先制点を許してしまい、結構焦っていたと思います」
それでもルナから打てる確信はあった。
「それほど速いとは感じませんでしたし、ベルト付近に来れば打てる自信はありました」
その言葉通り、第3打席を迎えた7回裏、ルナが投じたストレートをとらえ痛烈な右前安打を放った。そして8回裏の第4打席。スペインはルナから速球派右腕・ヘルナンデスに代わっていた。投手が代わっても韮澤のバットコントロールは健在。フェルナンデスが投じた直球をとらえ、中前適時打。この1点で勢いに乗った侍ジャパンU-18代表は逆転に成功した。
この2安打の韮澤の打撃を見ると、フォーム全体に余計な力が入っていない。オープンスタンスで構え、重心を少し下げた構えは柔軟で、いかにも好打者という雰囲気を感じさせる。韮澤にとって力まない時は好調な証拠だ。
「国内合宿だけではなく、韓国に入ってからの練習でも良い感覚で打つことができていたので、調子は良いと思います」
さらに韮澤の打撃練習を見ると、逆方向へのヒット性の打球が多い。韮澤自身はいかに逆方向へ打てるかにこだわっている。
「僕自身、引っ張ろうとしすぎてしまうと、肩の開きが早くなってしまう。スラッガータイプでもないので、開きを抑えるということを大事にしてヒットを打つことを心がけています」
韮澤は打撃練習からその意識は徹底としているから、逆方向への打球が多いのだ。そしてただ思い切り振るのではなく、目的意識を持つからこそ、安打を量産できるのだろう。
その韮澤が侍ジャパンを意識するようになったのは4月の高校日本代表の研修合宿のことだ。同世代のトップレベルの選手たちのプレーを間近で見て、さらに座学で日本代表の心構えを聞いて刺激を受け、全国制覇とともに侍ジャパン入りを目指してきた。
その目標が叶い、韮澤は世界一を目指して邁進をしている。普段から自分のルーティンを大事に、結果を残し続ける韮澤雄也。その姿勢を見れば、どんな窮地を迎えても頼りになる。
(記事=河嶋 宗一)