Interview

平良 海馬(八重山商工)「進歩し続ける魅惑の快速右腕!」【後編】

2017.05.30

 去った沖縄県高校野球春季大会1回戦。八重山商工宮古工との連合チームとして出場し、中部商と対戦した。先発した平良海馬は3失点したものの、最速152kmをマークし全国的に注目される存在となった。平良自身、高校野球生活最後の夏を迎えるいま、どのような取り組みをしているのか。彼のこれまでの野球歴を掘り下げつつ、これまでの経緯を探ってみた。

 後編となる今回は、2度めの夏から、最速152Kmを記録した今春までを振り返るとともに、夏に向けた想いを伺いました。

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収穫と課題を得た夏

平良 海馬(八重山商工)「進歩し続ける魅惑の快速右腕!」【後編】 | 高校野球ドットコム

平良 海馬(八重山商工)

 八重山商工は初戦、同じ石垣島の八重山と対戦(試合記事)。
「向こうは新人大会、秋季大会と優勝していましたが、同じ島で練習試合をして勝つなど自信がありましたから負ける気は全くなかったです。」

 3番レフトで出場した平良海馬。6回二死一、二塁からライトの頭上を越える3ランホームランで流れを変える。チームも9回に4点を奪いライバルを突き放すと、その裏平良海馬がマウンドへ。被安打0、2奪三振と存在感を示した。

 次戦は糸満。「春季大会優勝校ということで、正直勝てる気はしなかった」平安常輝の前に無安打に封じられた平良海馬だったが、他のナインの活躍で1点差勝利。3回戦の沖縄宮古戦ではマウンドを任された。

「試合を決めるのはピッチャーだと思ってます。ここで終わるわけにはいかないと集中してました。」
先発で8回途中まで投げきり、被安打4、12奪三振の快投。チームをそして恩師・伊志嶺監督を7年振りのベスト8へと導いた。

 だが、嘉手納の前に敗退。「仲地さんの低目のチェンジアップにしてやられました。」ヒットを2本放ったものの、その他の3打席では全てセカンドゴロに斬られた。同点の9回からマウンドへ向かったが「ピッチャーライナーを弾いてしまい負けてしまった。もし捕っていたら、いい流れで僕らの攻撃に入れたかも知れない。」

 ただただ、悔しいという思いが残った伊志嶺監督との夏が終わった。

[page_break:二度目の冬を越し最速152Kmをマーク]

二度目の冬を越し最速152Kmをマーク

 新チームになった秋の県大会では再び嘉手納と対戦。先発した平良海馬は9つの三振を奪う力投を見せたが打撃ではノーヒットに終わるなどチームは完封負けを喫する。

 二度目の冬でも筋トレに励む平良海馬の姿があった。「正直去年は器具に触ったかなという感じ。でもこの冬は全てにおいてこなしていった。」筋トレと並行してバランスを養い、30mのダッシュを繰り返しては体のキレを増していった。

 しかし「実は春季大会の4日前に風邪がやっと治った状態だった。」と末吉昇一監督。当然ながら、好調には程遠く、ましてや宮古工との連合チームで臨む大会。力の入り具合が微妙に狂っていた。

「腕は振れていたが球が高めに浮いてしまいました。」140km台のストレートをガンガン放る平良海馬だったが、速くても高めに浮けば捉えられる。3失点で敗退したが、その敗退があったからこそ「今は低めをつくことをテーマにしています。」

 150Kmを越えるストレートは魅力だが、140km前半がアウトローやインローに出し入れ出来るなら、春季大会で上位に入ったシード校を始め、全ての高校にとって当たりたくない脅威となろう。最後に平良にいくつか伺ってみた。

――伊志嶺監督から得たものは?

平良 海馬投手(以下、平良):最初は自分が目立とうと、カウントが悪くても振っていった。伊志嶺監督からはこんなことをしていたら勝てないよと、チームプレーの大切さを学びました。

――末吉監督から得たものは?

平良:末吉先生は、日頃やっていることが野球のプレーに出るぞと。声掛けや道具の管理などそういうものが大事だと。実際、練習試合だからとライトが一塁牽制の際のカバーリングを怠り、そういうときに逸れて転がっている間に三塁への進塁を許してしまった場面がありました。

――夏へ向けての意気込みは?

平良:自分は試合に入ったら、例えばこれで負けたら終わりなどということは考えず純粋に勝負に没頭するタイプ。全力を出すこと。ストレートもあと1〜2kmアップ(153〜154km)は出るという思いがあります。

――将来の目標は?

平良:高いレベルで野球をやりたい。プロで活躍出来る投手、または社会人野球で活躍出来る投手になれるように、と思っています。

 140kmに到達するのが数名ほどしか出ない沖縄県の高校野球において、1年生の時点で既に到達していた平良海馬。現在は沖縄県高校野球歴代最速となる152Kmをマークするまでになったが、実はいまだ未完成と言ってもいいほど、まだまだそのポテンシャルを秘めている。離島が育んだ魅惑の快速右腕の夏、そしてその先を僕らファンは期待をもって追い掛けていきたい。

(インタビュー/文・當山 雅通

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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