試合レポート

杜若vs愛知産大三河

2023.03.23

中盤までは緊迫の投手戦、雨に泣いた愛知産大三河一気に乱れ杜若に敗退

杜若vs愛知産大三河 | 高校野球ドットコム
7回までは自分の投球がしっかりと出来た愛産大三河・朝鍋君

<春季愛知県高校野球1次予選:杜若7-1愛知産大三河>◇23日◇西三河地区3回戦◇刈谷

 過去には、2018年の第100回大会はじめ夏2回、春1回の甲子園出場も果たしている愛知産大三河。西三河地区を引っ張る存在とも言っていいだろう。突出した選手がいるというわけではなくても、毎年まとまったチームを作ってきており、安定した存在である。

 杜若は、プロ野球の近鉄、オリックス、ヤクルトなどで13年間在籍したことのある田中祐貴監督が、帝京可児コーチから異動してきて2年目。かつては県大会ベスト4などにも進出した実績のある母校を再び上位へ進出を果たして存在を示していきたいところでもある。ただ、今年のチームは新3年生が4人と少なく、新2年生を中心とした若いチームとなっている。

 雨も降り始めてきた中のプレーボールとなった。そんなコンディションだったが、両先発投手はそれを気にすることもなく、3人ずつで抑える上々の立ち上がりだった。

 先制したのは愛知産大三河で3回、先頭の7番朝鍋が内野安打で出ると、バントで進めて9番マルチがすかさず中前打して二塁走者を迎え入れるというそつのない形でつないでいく、愛知産大三河らしい得点だった。

 しかし、杜若もすぐに反撃する。2番からの4回、松本と小林の連打に四球で無死満塁とすると、5番の家永が右犠飛を放って三塁走者を迎え入れて同点。さらに1死一、二塁だったが、ここは暴投などで走者を進めたものの、朝鍋投手が何とか踏ん張った。

 雨でコンディションはよくない中だが、気持ちの入ったいい投手戦が展開されていった。

 グラウンド整備直後の6回、杜若はまたしても先頭の2番松本が左前打してチャンスメーク。バントで進むと、4番の深田が外角低めを上手に運んで左越え二塁打として二塁走者を迎え入れた。

 1点をめぐる緊迫した展開が続いていたが、雨脚が強くなってきた8回、一気に試合が乱れてしまった。愛知産大三河は打者2人を出したところで、朝鍋と左翼手の富田を入れ替えた。しかし、雨でぬかるんで内野安打となった後、ストライクが入らなくなってしまい、3連続四球。さらに急遽、遊撃手の後藤がマウンドに立ったが、さらに3連続四球となってしまい押し出しも続いて5点が入ってしまった。

 この段階で、グラウンドにも水が浮いてきたという状態になってきてしまった。愛知産大三河としては、この回の守りについた直後あたりから雨が強くなってきた不運もあった。また、そんな状況でも冷静に選球していっていたと若の各打者も結果的には功を奏したということであろうか。

 もっとも、そうなった要因としては、そこまでしっかりと投げていた杜若の家永投手の冷静で丁寧な投球があったということである。

 結局、試合は8回裏の愛知産大三河の攻撃が終了した時点で雨天コールドゲーム打ち切りが宣言された。

 序盤から中盤までは緊迫感のある試合展開だった。そうした展開の試合で辛抱できたことに対して、田中監督も、「まだまだ成長途上ですけれども、秋に比べたら、ひと段階成長したとは思います。こうした条件の中で、辛抱しながら我慢して投げられたということは大きかったんじゃないでしょうか」と評価していた。

 序盤から中盤までは、お互いが少ないチャンスを確実にものにしていくという展開の投手戦で緊張感も十分にあった試合だった。雨で、コンディションが激変してしまって、愛知産大三河には、その不利があったことも否めない。それでも、櫻井春生監督は、「気持ちが弱いところが出てしまったかなあ。そういう時は、雨も味方してくれないんですよ。そんなところが、試合結果として出てしまった」と肩を落としつつも、「ここからチームとしてはどう立て直していくのか。それが今後の課題となったので、むしろ引き締めていく材料にはなった。何としても県大会には進出していかないかん」と、すぐに、先を見つめて立て直しを描いていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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