試合レポート

昌平vs成立学園

2020.11.01

二松学舎大附に好ゲーム見せた成立学園が昌平と接戦演じる!

昌平vs成立学園 | 高校野球ドットコム
昌平・吉野創士

 各地の秋季大会が佳境に突入し始めており、全国の多くのチームが練習試合や地域のローカル大会等に参加する学校が多くなっている。東京都北区に学校を構え、秋季大会は都大会1回戦で二松学舎大附と接戦を演じた成立学園も多くの練習試合をこなしている。

 グラウンドは学校から1時間離れた久喜市に構えていることもあり、近くに学校がある埼玉王者・昌平と1日に練習試合を実施。注目スラッガー・吉野創士擁する強豪と相対することとなった。

 その吉野が1番に座り、第1打席からレフトフェンスに突き刺すホームランなどで昌平が初回から主導権を握るも2回以降は両チーム無得点が続き、緊迫の試合展開となった。

 その中心にいたのが成立学園の先発・吉田の投球である。サウスポーの吉田は、ノーワインドアップから始動し、開きを我慢したまま重心を移動。トップをしっかりと作って着地をすると、身体を回転させて左腕を振り下ろしていく。

 剛速球を投げ込んでくるわけではないが、緩く曲がるカーブにスライダーと変化球を混ぜながら常に低めを突く丁寧な投球。ストライクゾーンを広く使いながら昌平打線に気持ちいいスイングをさせずに、打たせて取る投球を実行。

 この投球に昌平がハマってしまい、ゴロアウトが続いてしまう。4回にも2点を失い、0対4と追いかける成立学園は直後の攻撃で1点を返すと、6回には7番・星名のタイムリーで2点を返して3対4の1点差に詰め寄る。

 成立学園打線は決して大振りをしたり、ホームラン性の長打をどんどん飛ばしたりするような感じではない。その代わり、各打者がポイントを手元まで引き付けてシャープなスイングでセンターから逆方向を中心に転がしていく。強打者が揃う重量打線とは違い、繋がりのある打線で対戦する投手はまた一味違う強さがある。

 バントの精度など細かな部分はもっと詰めていく必要があるかもしれないが、4番に座る村田が頭1つ抜けているような印象。身長178センチ、体重90キロの恵まれた体格の持ち主。ややオープンスタンスでどっしりと構え、あまりテイクバックを取らずにタイミングを取り始めると、手元まで寄せたポイントに振り下ろす形でバットを振りだしていく。

 若干の開きの速さや引っ張り傾向にあるスイングは修正しなければならない課題であるだろうが、力強いスイングはスラッガー気質を感じさせる一冬超えてどんな打者へ成長するのか非常に楽しみである。

 試合は1点差に詰め寄って迎えた7回に昌平が4点を追加。5点差と成立学園を引き離して勝負あり。成立学園は守備の乱れから流れを悪くし、3対8で1試合目は敗れる形となった。だが、終盤は1点差に詰め寄るなど強豪相手にも通じる部分が見つかった一戦となった。

(取材・写真=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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