試合レポート

東山vs龍谷大平安

2018.05.15

東山が必死の継投リレーで龍谷大平安に粘り勝ち!

東山vs龍谷大平安 | 高校野球ドットコム
好投を見せる小山湧平(東山)

 龍谷大平安東山の一戦。両校は昨秋でも対戦しており、その時は龍谷大平安がコールド勝ちを収めている。東山の足立景司監督は「昨秋は相手の技術力で負けたわけではなく、自滅という形でやられる試合となりました。だから今日は試合に勝つのではなく自分たちでやれることをやろうと選手たちに話し合いました」と普段通りの野球を心掛けた。それが実った試合となった。

 1回裏、龍谷大平安の3番松本渉(3年)の適時打で1点を先制され、打席には4番松田憲之郎(3年)。松田に対し、東山バッテリーはインコースを要求。松田をどん詰まりの二飛に打ち取り、東山の正捕手・大杉 渉太(3年)は
「これで先発の小山(湧平)はストレートで勝負できると実感できました」と手応えを感じたという。

 そして2回表、一死から5番大杉が「速いストレートをずっと練習してきたので、狙い通りにストレートを打ち返すことができた」と直球を振り抜いた打球はレフトを超える二塁打となり、チャンスを作る。その後、二死一、二塁から8番井澤 瞭太(3年)が左越え二塁打を放ち、同点に追いつくと、9番小山が高めのストレートを捉えてライトオーバーの適時三塁打で、一気に3対1と逆転に成功した。

 4回の裏、龍谷大平安は 一死二塁から7番馬場友翔(3年)のセンター前適時打で1点を返され、3対2と1点差に迫られたが、小山は4回を投げ、2失点の力投で同点にはさせなかった。

 小山は決して上背はないが、コンパクトなテークバックから鋭く腕を振って投げ込む右オーバーから常時120キロ後半~135キロのストレートは威力があり、120キロ前後のスライダー、フォークを投げ分ける右の本格派。ストレートは走っており、特に警戒していた4番松田の第2打席は高めのつり球で空振り三振に打ち取るなど、持ち味はしっかりと発揮した。


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13奪三振の好投を見せた小寺智也(龍谷大平安)

 対する龍谷大平安のエース・小寺智也(3年)も2回以外はほぼ完ぺきなピッチング。コンパクトなテークバックから振り下ろす右オーバーからストレートの球速は常時135キロ~140キロを計測。5回までは1イニングに2、3球は140キロを計測するなど、ウエイトが乗ったストレートは威力十分。さらに120キロ台後半を計測するスライダー、フォークのひざ元に決まり3回以降は0を並べる、京都府を代表する本格派右腕として持ち味を示した。

 東山投手陣は必死の継投リレー。先発の小山は4回まで2失点に抑え、5回裏から日柴喜 風人(ひしき・3年)が登板。日柴喜は右スリークォーターから繰り出す120キロ後半の速球とキレのあるスライダーで、6回、7回と満塁のピンチを招きながらも無失点に抑える。8回裏から秋まで背番号1だった高橋健太郎(3年)が登板。高橋は自慢の速球で8回を三者凡退に抑えると、9回表には大杉が直球を捉えて左翼席へ本塁打。4対2と大きな追加点を入れる。

 9回裏、高橋が三者凡退に抑え、東山龍谷大平安を破り、準決勝へ駒を進めた。東山は10安打を打たれながらも粘り強く抑えた。特にマークしていた4番松田は3打数0安打2四死球と完ぺきに抑えたことが勝因につながった。東山の足立監督は「試合前に自分たちがやるべきことをやろうとして臨んだ結果、勝てることができて選手たちにとって大きな自信になったと思います。今日は投手陣の頑張りと、それをリードしてくれた大杉がよくがんばってくれました」と選手たちとバッテリーの活躍をたたえた。

 リードした大杉は「次は乙訓と強い相手が続きますので、気を引き締めてやっていきたい」と次の試合へ向けて切り替えていた。

 敗れた龍谷大平安。は、エース・小寺が13奪三振の快投を見せながらも要所で打たれ、打線はチャンスで打てず悔しい敗戦となった。原田英彦監督は主力選手のそれぞれの課題を話してくれたが、「まだ野球を知らない。そして試合状況や相手の動きに応じた野球ができていない」というものであった。振り返れば、エース小寺は2回と9回以外は完ぺきな投球で、もったいない内容。主砲・松田も東山バッテリーの内角攻めに苦しみ、無安打。頼みの投打の柱が大事な場面で結果を残すことができなかったのは悔しい限りだろう。

 夏の甲子園100勝へ。この敗戦を糧にさらにレベルアップすることを期待したい。

(文・写真=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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