乙訓vs福知山成美
乙訓が6失策するも8回裏に集中打で逆転!準決勝進出!
勝ち越しの適時打を打つ宮田(乙訓)
13日の雨天の影響で、平日の14日に行われた京都二次戦準々決勝。選抜出場の乙訓は強豪・福知山成美と対戦した。
乙訓の先発は富山大樹、川畑大地のダブルエースではなく、背番号11の 高木優雅。乙訓の市川監督は高木の起用について、「調子が良かったことと夏も投げさせたい投手」と期待を込めてマウンドへ登ったが、なかなか踏ん張ることができない。いきなり一死満塁のピンチを招くと、5番広瀬一希が右中間を破る適時三塁打。さらに中継の乱れもあり、広瀬も生還し、4点を先制された。
2回表、二死一、二塁のピンチを招いたところで高木は降板。2番手に左腕の富山大樹が登板する。富山は去年より腕の角度を若干下げたフォームとなり、球速は常時130~135キロを計測し、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、福知山成美打線を抑える。
福知山成美の先発・ 小橋翔大は常時125キロ(最速128キロ)のストレート、スライダー、カーブを投げ分け打たせて取る投球。乙訓は5回まで5失策、3安打で無得点とどこかがおかしい。秋季大会や選抜の勝ち上がりを見れば打ちあぐねる投手ではないのだが、狙い球が絞り切れず、無得点が続いた。
打ちあぐむ理由について、市川監督が明かしてくれた。
「この大会はあえて相手校のビデオを見せることなく臨ませています。だから最初は打てないことは予想していました。それでもそれをやるのは、選手たちが自分自身の感性で、攻略法に気付いてほしいからです」と選手たちの自主性に任せ、攻略法を見出すことを期待していたが、なかなか安打が出ない。
なかなか打てない試合展開に、乙訓の市川監督は7回裏、選手たちに指示を出した。「右打者はスライダー。左打者はストレートを打つことを指示しました」
すると乙訓打線は小橋をとらえはじめ、ついにチャンスを作る。4番大西陽大がライト線を破る適時二塁打、5番茨木祐哉が甘く入ったスライダーを逃さず、左中間を破る適時二塁打で、1点を返す。そして8回裏、1番大上翔也が右前安打、2番伊佐駿希が死球で出塁。3番浅堀大暉の右飛で二塁走者が三塁まで進み、4番大西が右前適時打で1点を返し、5番茨木右前適時打を放ち、ついに1点差へ。そして、6番15615も適時打を放ち、ついに同点に追いつく。
打席に立ったのは選抜では4番だった7番宮田康弘。調子を落として打順は下がっていたが、「4番でも、7番でもチームのために打つということは変わりない」と気合を入れて打席に入った。宮田は狙い通りのスライダーを逃さず左前適時打。相手外野手のミスもあり、一塁走者の中川も生還し、6対4と逆転に成功した。
殊勲打を放った宮田は「右打者にはスライダーが甘く入る傾向があったのでそれを逃さず打つことができてよかったです。自分は結構引っかけてゴロにすることがあったのですが、しっかりと引き付けて打ち返すことができてよかったと思います」と勝ち越し打の場面を冷静に振り返った。
この2点リードを8回から投げているエース・川畑 大地(3年)が守り切る。川畑は右オーバーから常時130キロ後半~142キロ(最速143キロ)のストレートで押すピッチング。27球を投げて、140キロ以上は14球を計測する格の違いを見せ、2回を投げ無失点の好投で、乙訓が逆転勝利で準決勝進出を決めた。
市川監督は「守備面でも課題が残りましたし、エラーが多く出て、劣勢の中で逆転勝ちしたのは大きな自信になったと思います。でも後半の援護を、できれば高木が投げる時にしてほしかったですし、指示を出す前に相手投手を攻略してほしかったです」と、後半に逆転勝利したことは評価しながらも計6失策の守備と、前半の打撃を反省材料に挙げていた。
(文・写真=河嶋宗一)