都立文京vs都立足立西
中村8回無失点の好投、文京都立強豪対決に圧勝
好投手・小畑 秀平を擁し、秋季都大会では修徳を破りベスト8に進出した都立足立西と、都立の強豪として定着している都立文京の、都立勢対決。
第1試合の実践学園・日体荏原戦は、途中までテンポよく進んだものの、結局延長15回引き分け再試合となる熱戦となり、試合開始が予定時刻より1時間20分遅れて始まった。
猛暑の中で待たされるのは両チームとも同じ条件であるが、その影響か、都立足立西の小畑の動きは、ややキレを欠いているようにみえた。
0対0で迎えた3回表都立文京の攻撃。
2安打1四球で作った二死満塁のチャンスで、4番高橋 泰一はレフト前にきれいに流し打ちをして、都立文京がまず1点を先取した。続く遠藤 由樹の痛烈な打球を、都立足立西の中堅手・吉川 優也が必死に飛び込むが届かず、走者一掃の三塁打となり、都立文京が試合の主導権を握った。
都立文京の先発は身長185センチ、体重88キロという大型左腕の中村 翔。中村は体格を生かした、しなやかな腕の振りから、伸びのあるストレートにカーブ、スライダーなどを織り交ぜて、都立足立西打線を抑える。
都立足立西は3回裏に8番佐藤 諄の四球、9番岡田 大樹の内野安打でチャンスをつかむも、犠打の失敗や走塁ミスがあり、得点できない。
6回表都立文京は、先頭6番松本 遼が三塁横を鋭く破る打球が二塁打となった。続く小倉 朋之の二ゴロは進塁打となり、続く春谷 康太がライトに犠飛を上げ、効率よく1点を追加した。8回にも高橋の二塁打などで、1点を追加し、6対0と都立文京が大きくリードした。
都立足立西の小畑は、時折素質の片鱗をみせる鋭い投球をするものの、今日は続かなかった。きっと本人が一番もどかしさを感じていただろう。
一方都立文京の中村は8回を4安打無失点に抑え、9回からは、この春までは先発だった吉本昂矢がマウンドに上がった。
9回裏都立足立西の先頭打者は、4番の小畑。この1年、エースで4番で主将という重責を担ってきた小畑の、高校生活最後の打席だ。平凡な二ゴロに終わったが、一塁に勢いよく頭から滑り込む姿に、万感の思いが伝わってきた。
結局6対0で都立文京の勝利。応援席に試合後のあいさつに行った都立足立西の小畑は、その場に泣き崩れた。都立の好投手が、早々に姿を消した。
その一方で、都立小山台の伊藤 優輔、都立雪谷の鈴木 優、都立広尾の舛田 崚ら、都立の好投手が多い東東京大会。その中にあって、185センチの大型左腕である中村も、好投手の一人として、名乗りを上げそうだ。ただし、都立文京の次の相手は、修徳だ。大型左腕の真価が問われる一戦になりそうだ。
(文=大島裕史)