徳之島vs蒲生
4投手の継投が的中
徳之島は、4投手の継投で蒲生打線に三塁を踏ませなかった。田村正和監督は「4人ともしっかり投げてくれたのが何よりの収穫」と喜んだ。
初戦に勝った直後から、2回戦は継投と決めていた。
前元良太(3年)という絶対的なエースはいるが「上で戦うことを考えると、二番手投手をどう育成するか」(田村監督)が大きなテーマだった。
その候補になる3年生左腕の大久達也、2年生右腕の永大志、大山陽介がどれだけ投げられるかに期待して送り出した。
「緊張したけど、周りを信じて打たせてとれた」と先発の大久。
立ち上がりは制球が定まらなかったが、3イニングで被安打1と先発の役割を果たした。
二番手の永は「変化球が思うようにいかなかったけど、直球が良かったので直球で押した」と2イニングを6人で片づけ、3三振を奪った。
「少し準備不足だった」と言う三番手の大山も「腕がしっかり振れてマウンドが楽しかった」と1イニングで2奪三振の働きだった。
最後は大黒柱の前元が3三振で締めくくった。4人をリードしたキャッチャーの稲村公至は「全体的に直球で押せたのが良かった」と振り返った。
「次の試合も市民球場なので、4人がこのマウンドを経験できたのが良かった」と田村監督。
攻撃では、持ち味の足を生かした攻めで相手を崩し、中盤以降は打線もつながった。守備は2試合連続無失策。ここまで2試合は投・攻・守ともに中身のある勝ち方をしているが、田村監督は「まだまだやることはたくさんある。一つ一つ積み重ねですから」とかぶとの緒を締めていた。
初戦、2回戦と快勝して意気上がる徳之島だが、頭を悩ますのが滞在費だ。古市幸司部長は「支払いを考えるとゾッとしますよ」と苦笑する。
開会式前日の7月6日にフェリーで島を出発して、雨で試合が3日伸びたこともあって16日までに鹿児島で9泊した。
3回戦は19日の予定だから、最低でも12泊はしないといけない計算になる。部員はマネジャーも含めて27人で監督、部長、副部長と合わせて30人。宿泊費は1泊5000円で、往復のフェリー代が1万6000円。単純計算しただけでも200万は超える額になる。
一部は学校からの補助も出るが、ほとんどが部員各自の自己負担。勝ち進んだが故の「うれしい悩み」だが「切実な悩み」であることも確かだ。
古市部長は「中学野球のオール徳之島が九州3位で島が盛り上がったように、高校生も負けずに勝ち進んで島を盛り上げたい」とやるからには上を目指す覚悟を決めていた。
(文=政純一郎)