JR四国・近藤壱来がドラフト解禁年に「勝てる投手」に進化! 社会人屈指の右腕に
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JABA四国大会準決勝・JR西日本戦で先発した近藤 壱来 投手
予選リーグから東芝にコールド勝ちするなど圧倒的な打力を見せつけたJR西日本の初優勝で幕を閉じたJABA四国大会。その一方で今大会の大きなトピックとなったのが、四国社会人の雄・JR四国(香川県高松市)の準決勝進出である。
2010年の予選リーグ制度導入後、四国地区チームで初の準決勝進出を果たした原動力となったのはチーム2年目を迎える最速152キロ右腕・近藤 壱来投手(鳴門渦潮)であった。
鳴門渦潮から三菱自動車倉敷オーシャンズで約2年を過ごした後、1年間のブランクを挟み、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズで3年、さらにJR四国とここまで波瀾万丈の野球人生を過ごしている近藤。昨年は都市対抗で東京ガスを延長11回完封勝利、日本選手権でもJR東海、パナソニックから勝利を奪うなど、社会人屈指の右腕に成長した25歳はドラフト解禁年の今年をどのように過ごそうとしているのだろうか?
「NPBを目指す」内容の変化
「もちろんNPBドラフト指名はあきらめていないです」
120球1失点完投勝利した予選リーグ・ツネイシブルーパイレーツ戦から中1日。準決勝に先発するも、強力打線のJR西日本を前に屈した近藤。それでも2021年・四国アイランドリーグplusリーグMVPに輝いたこともある香川オリーブガイナーズ時代から何度も繰り返していたフレーズを口にした。
しかし、強気な発言の中身はその当時から確実に深化している。特に深化したのは洞察力。香川オリーブガイナーズ時代は独立リーグという特性を差し引いても自我を強く押し出す傾向もあったが、社会人野球に身を投じてからはいい意味で自分を客観視できるようになった。
この日も1回表の4失点について「相手の準備が自分の準備を上回っていた。自分が後手後手になっていた」とJR西日本をリスペクトしつつ、4番・土居 拓海内野手(広島新庄)に打たれた先制2ランについては、「小さな変化球が真ん中に入ってしまった」と、失敗を冷静に分析する。さらにこの大会でMVPを獲得したJR西日本の左腕・花村 凌(神戸国際大附-大阪商大)からも「クイックの速さとかカウントの追い込み方とかが参考になった」と語った。
失敗を単なる失敗に終わらせず、双方向から情報を得て次の成功へとつなげていく。この過程は昨年、都市対抗、日本選手権での計3勝1完封の原動力ともなっていた。一例をあげれば都市対抗前、JFE西日本とのオープン戦で先発登板した近藤は、全国レベルの打線と対峙して「社会人野球でのスイングの感じはつかめました」と一言。
そして自身初の東京ドームでは延長11回1安打で東京ガス(東京都)を完封。まさに「有言実行」であった。
「チームのために」を優先した先にある「NPB到達」
2大大会計3勝の実績を買われ、昨年シーズン終了後にはJABA選抜の一員として台湾でのアジア・ウィンターリーグも経験。「台湾ではヤマハの佐藤 廉投手(修徳-共栄大)と同級生なのでよく話をしていたのですが、彼からはボールの強さやコントロール、学年上の東京ガス・高橋 佑樹投手(川越東-慶應義塾大)からは粘り強さといった部分でいい刺激を受けました。変化球を打つのがうまい向こうのバッターと対戦して違う野球を知れた」と新たな引き出しも近藤は手に入れた。
今年の個人テーマは「勝てるピッチャーになる」。以前はJABA大会や都市対抗、日本選手権での1勝が現実的な目標だったJR四国に新たな高みをもたらした。JR四国の絶対エースは解禁年となるドラフト指名とも絡めて、こう強い決意を語った。
「やはりNPBを目指すということはモチベーションにもなりますが、そこ(ドラフト指名)は自分が決められることではない。指名されるためには自分の特長をだして「勝てるスキルがある」と認めてもらえることが大事」
「そのためにはJR西日本戦のような試合をしていたらダメ。中1日は言い訳にしかならないので、自分が研究されている時などにいかにフィールディングやけん制とかを使って抑えるスキルを身に付けたい」
チームは2年連続14回目の出場を目指す都市対抗への準備に入る。
「四国銀行や、アークバリア、松山フェニックスの粘りを超えないと勝てないと思う」
最後にJR四国のために粉骨砕身を改めて誓った近藤。「チームのために」を優先した先にある大願成就「NPB到達」への飽くなき闘いは、これからも続いていく。
(取材構成:寺下 友徳)