News

プロ野球 開幕から活躍を続ける「5人のルーキー投手」の“今後”はどうなる!? 元プロが診断するスゴさと課題

2024.04.10


左から大学時代の西舘勇陽、岩井俊介、武内夏暉

3月29日からプロ野球のペナントレースがスタート。4月9日までに10試合を終えた。ここまで開幕から活躍を見せている5投手を紹介したい。

まず西武のドラフト1位の武内 夏暉投手(八幡南-國學院大)だ。大学生No.1左腕と評価された武内はオープン戦では2試合で9回を投げ、防御率2.00の好投をみせ、開幕に臨んだ。3日のオリックス戦では7回1安打、無失点の投球でプロ初勝利を挙げた。デビュー戦の快投で周囲の評価はうなぎ登りだ。元阪神の福永春吾氏も
「右打者のインコースにしっかりと投げ込むことができるのが良いですね。そのストレートは縦の角度。そして強いストレートを投げながら、コントロールに不安がないのが素晴らしいです」と高評価を与える。
コーナーに150キロ前後の強いストレートを投げられる要因として、武内は「ボールを叩くイメージで投げています」と語っている。福永氏は「このボールの強さとコントロールならば、ローテーションでずっと投げられると思います」と太鼓判を押す。

巨人のドラフト1位の西舘 勇陽投手(花巻東-中央大)は勝ちパターンのセットアッパーに入っている。開幕の阪神戦で無失点に抑える鮮烈デビュー。ここまで5試合連続無失点に抑え、リーグ2位の5ホールドを記録している。
「テークバックを小さく投げているのが特徴ですね。コントロール、スライダー、ストレートの勢いも十分に一軍で通用している。空振りが奪える変化球があるので、1年間通してやれる投手」
と語った福永氏は、西舘の先発としての可能性にも言及した。
「大きなカーブもあるので、緩急が使える。ゆくゆくは先発もできるスキルは持っています。中継ぎでしっかりと投げてプロの投手として自信がついた状態で、先発に挑戦してほしいですね」

DeNA2位の松本 凌人投手(神戸国際大付-名城大)は3試合を投げ、無失点の好投を見せている。右サイドから150キロの速球、シンカー、スライダーを投げ分け、一軍の打者を抑えている。
「サイドスローですが、かなりのパワーピッチャーですよね。なかなかいないタイプです。コントロールに不安もないですし、今の状態が続けば、一軍で活躍できる投手」(福永氏)

9日の時点で首位を走るソフトバンクは2人のルーキー投手が開幕からデビューした。
ドラフト5位の澤柳 亮太郎投手(明学東村山高-明治学院大-ロキテクノ富山)は4日のロッテ戦で1回無失点、三者凡退の好スタート。4月7日の楽天戦では9回裏、同点の場面で登板。サヨナラ打を打たれたものの、重要な場面で任されているのは首脳陣の信頼の表れだろう。福永氏は大きな戦力が入ったと評価する。
「縦にしっかりと振り下ろす投球フォームをしていて、角度のあるストレートに加え、カーブが非常に良いです。ホークスの中継ぎ陣の層は厚いですし、同タイプの藤井 皓哉投手など自チームにもお手本できそうな投手がたくさんいるので、競い合って経験を積んで行ければと思います」
2位の岩井 俊介投手(京都翔英高-名城大)は4日のロッテ戦で1回無失点のデビュー。最速149キロの速球、130キロ後半のスライダー、フォーク、120キロ後半のスラーブを投げ込んだ。福永氏は度胸の強さとスラーブの切れ味を評価した。
「堂々と腕を振って投げることができていますよね。そしてスラーブは曲がりが大きく、空振りが奪えるほどの精度があります。曲がりが大きい変化球は制御が難しいんです。自分の経験を言わせてもらうと、変化が大きい球を投げるのは苦手でした。岩井投手は自信を持ってコントロールできているのが良いと思いました」
今後の2人に期待するのは苦しい場面を経験することだ。
「2人はまだまだ若いので、調子が悪くても打たれることはいろんな経験をしながら戦っていけばとホークス投手陣の厚みが増せばいいですね」

この5人については「シーズン通してやっていける投手」と評価した福永氏。開幕で好スタートを切った投手たちは息切れすることなく、好成績を挙げることができるか注目だ。

<関連記事>
なぜ武内 夏暉にプロの人気は集まったのか? 3球団競合の背景に迫る
“剛球キャッチボール”で話題 巨人ドラ1・西舘勇陽 19年夏の甲子園では初戦敗退も「球速ランキング」9位タイにランクイン!
「ドラ1を目指して大学に進んだ」名城大の右サイド・松本凌人(DeNA2位)が進化のために取り組んだこと<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語③>
「ライバルを超えたい」156キロ右腕・岩井俊介(ソフトバンク2位) 成長の原動力は負けん気の強さと探究心の強さ<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語④>

 

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.24

2連覇ならず…浦和学院、頼みの投手陣が崩れ、春日部共栄に逆転負け

2024.07.23

「松坂さんを超える投手になる」偉大な先輩を夢に見る横浜のスーパー1年生が最速147キロを計測!4回5奪三振完全投球で決勝進出に貢献!

2024.07.23

全国トップレベルの投手陣が打ち込まれる…仙台育英、被安打19、8失点で15年ぶりの決勝戦敗退

2024.07.23

23年ぶり夏将軍復活へ!松山商「勝利の最短距離を走る野球」で初戦突破!

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!