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【春季東京都大会】錦城の左腕・宮地が2試合連続完封で都立片倉を下して4回戦進出

2024.04.08


錦城・宮地晴大

<春季東京都高校野球大会:錦城5-都立0片倉>◇7日◇3回戦◇駒澤

東京都に限らず、全国的な傾向として、今の高校野球の勢力構図としては、圧倒的に私立校が優位となっている。それは、学校の経営方針ということも含めて、選手獲得に関するさまざまな条件などにも差異があり、致し方のないことでもあるのかもしれない。そんな中で、東京都の場合でも都立校として厳しい条件の中で、どれだけ層を厚くして実績を上げていくのかということに取り組んでいる学校もいくつかある。八王子市の都立片倉もそんな1つである。

かつて都立の星とも言われた都立東大和を経て、都立府中工ではプロ野球選手を輩出してきた実績のある宮本 秀樹監督が指導している都立片倉は、何とか私学優勢の中で抵抗を示そうとしている存在の1つだ。

ここのゾーンは、東東京で健闘している都立校の1つでもある都立紅葉川が上がってくるのではないかと予想されていたが、それにストップをかけたのが錦城だった。私学ではあるものの、82メートル四方程度の正方形の校庭で、サッカー部や女子ソフトボール部などがひしめき合っているという状況で、錦城も野球部の活動環境としては必ずしも恵まれた環境とは言えないところではある。

郷野 康輔監督は、「ウチはスポーツ推薦もありませんし、本当に野球の好きで集まってきた子たちなので、野球を嫌いにさせないようにしていくことが監督の役割です。だから練習メニューも個人練習がメインです。練習中、監督はウロウロしていて、選手たちは困ったことがあったら聞きに来るというシステムです」と、日々の練習の内容を語っていた。

錦城は、ベンチも終始明るく、いいムードで戦い、まさに「好きな野球を楽しんでいる」という雰囲気だった。そんなムードの中、左腕・宮地投手が難敵の都立片倉を2安打完封して、三塁も踏ませないという快投を見せた。決してスピードがあるとか、球威があるというものではないが、「投球で打者と会話ができるタイプ」とでも言うか、投球センスの良さは郷野監督も太鼓判を押している。「相手は、力はあると思っていましたから、気持ちよく試合をさせないように心がけた」という投球でもあった。宮地投手としても、「投球としてはチェンジアップがよかった。空振りも取れて投げミスも少なかった」と分析していた。

錦城は、2回に2死一、二塁から1番・亀山 樟内野手(3年)の二塁打で2点を先取。さらに4回にも死球の走者をバントなどで進めて、亀山のバント安打に2番・小柳の左前適時打で追加点。なおも5回にも市川の安打と失策絡みでチャンスを作ると、スクイズと8番・紺谷の左越え二塁打で2点を加えて5点差とした。

2安打のみしか放てなかった都立片倉は、結局三塁へ走者を進めることもできなかった。ここまでの勝ち上がりとしては、いいスコアが続いていたが、その後になって感染症で体調を崩す選手が何人か出てきたこともチームとしては痛かった。先発した橋口投手が苦しくなったところで、次へつなぐ投手を用意しきれなかったという台所事情も痛かったようだ。

ベテラン宮本 秀樹監督は、今年のチームにはいい感触を得ていただけに落胆も大きかった。「どうしようもない、完敗でしたね。こうなったら、何もできないね。打てないんだもの…」と嘆いていた。それでも、守りでは、外野からの送球で2度までも本塁で刺したプレーに関しては、「あれは、よく練習してきたことだからね。それはよかったんだけれども…」と、練習の成果もあったことで、夏へ向けてのもう一度作り直していくことへの励みにしていこうという思いではあった。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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