試合レポート

【春季東京都大会】高橋の2ランで先制した関東一が、駒大高の追撃をかわして3回戦進出

2024.04.06


本塁打を放つ関東一・高橋徹平 

<春季東京都高校野球大会:関東一6-4駒大高>◇5日◇2回戦◇JPアセットスタジアム江戸川

関東一駒大高は昨年の秋も対戦し、12対0の5回コールドで関東一が勝っている。しかしこの時は、駒大高に体調の悪い選手が多く、本来の力を発揮できなかった。駒大高にとっては、真の力が問われる一戦となった。

関東一は、内野手を秋季大会やセンバツとは、大幅に入れ替えてきた。三塁手の高橋 徹平内野手(3年)はそのままだが、遊撃手には一塁手であった越後 駿祐内野手(2年)が入り、二塁手は外野手であった成井 聡外野手(3年)が、一塁手には堀江 泰祈内野手(3年)が入った。米澤 貴光監督としては、二塁手・小島 想生内野手(3年)、遊撃手・市川 歩内野手(3年)が落ち着くのが分かっていても、「打てる子を使う」と米澤監督。センバツでの初戦敗退を受けて、新たな試行錯誤の一環としての変化であった。

駒大高はサイドに近いフォームで投げる背番号10の白木 秀明投手(3年)が先発した。秋はベンチ入りできなかったが、進境著しい白木が公式戦で、「どこまでできるかみたい」という川端 教郎監督の思いを受けての先発だった。

しかし1回から関東一の強さを見せつけられる。この回2死二塁から4番・高橋が新基準のバットであることを感じさせない豪快な本塁打を左翼に放ち、2点を先制する。特大の一発を放った高橋は、新基準のバットでも「芯に当たれば、変わりません」と言う。高校通算49本目、新基準のバットでは5本目の本塁打である。

3回は1死二塁から、またも4番・高橋が右中間を破る二塁打を放ち1点を追加。外野手がもたつく間に高橋は三塁に進む。この試合、6番・右翼手に抜擢された半沢 颯太外野手(3年)が右前安打を放ち、さらに1点。続く成井のバントは内野安打になり、内野手のミスも重なって1点を追加。ここで駒大高は背番号20の2年生・塚本 涼太投手がマウンドに上がったが、8番・熊谷 俊乃介捕手(3年)の左前安打などで1点を追加した。

関東一は背番号10ながら坂井 遼投手(3年)とダブルエースのような存在である畠中 鉄心投手(3年)が先発。コントロールが良く、試合をしっかり作ることができる畠中が序盤3回を、危なげなく無失点に抑えると、秋に続き、一方的な展開になりそうな雰囲気であった。

しかし4回、駒大高は5番・一塁手で出場していた広瀬 天翔内野手(3年)がマウンドに上がり、この回を三者凡退に切り抜けると、球場の空気が変わり始めた。そして5回、駒大高の猛攻が始まる。この先頭の代打・大橋 直也の遊ゴロがエラーになると、9番・小島 良太外野手(2年)は四球で出塁する。そして2番・山口 惟呼内野手(2年)、3番・出口 煌之内野手(2年)の連続安打で1点を返す。さらに1死満塁から4番・森 広翔外野手(3年)の一ゴロを関東一の一塁手の堀江が本塁に悪送球で2人が生還。続く投打の柱である5番・広瀬が左前安打を放ち、この回4点目。試合は分からなくなった。

しかし、どんな状況になっても、その状況に応じて使える戦力が揃っているが関東一。7回からは大後 武尊投手(3年)が登板。テンポのいい投球で駒大高に付け入るスキを与えない。駒大高の広瀬も、安打を打たれても得点は許さず、結局6対4で関東一が接戦をものにした。

関東一は勝ったものの、5回の4失点は反省材料。2つの失策が絡んでの失点であったが「多少ミスがあっても、それも野球なので」と米澤監督。ただ、そこに四球が絡んで傷口を広げ、安打を打たれたのが響いた。主将の高橋は、「序盤の得点で気持ちに余裕ができてしまい、焦りにつながりました」と反省する。3回で6対0になった時は、コールドゲームになるような雰囲気であったが、ほんの小さな心のスキが、致命傷になることもある。それを実感できたのは、関東一としては収穫であった。

それだけ駒大高の追い上げは見事で、広瀬の好投も光った。ただ、もう少し早く広瀬を投入できなかったのかという疑問はある。「早めに作っておけとは言っていましたけど」と、駒大高の川端監督は語る。しかし広瀬の打順は5番。そのため1回だけでなく、2回も投球練習ができなかった。二刀流でいくなら、初回に必ず打順が回る1番~3番ということも考えられるが、チームの得点力を考えれば、広瀬は4番か5番だし、広瀬本人もそれを望んでいるという。実際、5回の猛攻も5番打者・広瀬の安打が大きかった。もちろん夏の大会は、広瀬が先発登板することもあり、戦い方も変わるかもしれない。試合後、敗れた駒大高には、泣く選手もいた。春の大会では珍しい光景だ。その悔しさは夏へのエネルギーになる。駒大高は西東京において、脅威のノーシード校になりそうだ。

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この記事の執筆者: 大島 裕史

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