【春季鹿児島大会】鹿屋農が延長10回激戦制して4強にも反省忘れず
吉元翔皇(鹿屋農)
<第154回九州高校野球大会鹿児島県予選:鹿屋農11-8鹿児島玉龍>◇2日◇準々決勝◇平和リース
試合時間が3時間5分にも及んだ死闘となった。
立ち上がり、鹿屋農は4連打を浴びせ、3番・出水 康晴(3年)、4番・吉元 翔皇(3年)の連続適時打で幸先良く2点を先取した。
鹿児島玉龍は3回、2死二塁から6番・中原 翼(3年)の左前適時打で1点を返す。
鹿屋農は5回2死二塁から代打・池田 久和(3年)の右前適時打で再び2点差としたが、鹿児島玉龍は6回、相手のエラーで再び1点差に詰め寄る。
両者その後も再三走者を出して得点機を作るも、ものにできず9回裏を迎えた。鹿児島玉龍は代走・池川 慶梧(3年)が二盗を決めて得点圏に進み、9番・重野 未来(3年)の中前適時打で生還、土壇場で同点に追いつき、試合を振り出しに戻して、タイブレーク方式の延長にもつれた。
鹿屋農は10回表、けん制悪送球で無死二、三塁とし、8番・竹下 慶哉(3年)の左前適時打で勝ち越す。打線が再びつながり、5番・田中 宗典主将(3年)のグランドスラムも飛び出すなど、大量8点のビッグイニングになった。
その裏、鹿児島玉龍も粘りを見せ、押し出し、5番・畠添 翔主将(3年)の犠飛、6番・中原の左前適時打などで5点を返す。なおも2死満塁と一打同点の盛り上がりを作ったが、反撃もここまでだった。
劇的な勝利で4強入りを果たしたものの、鹿屋農・今熊浩輔監督が今大会「勝って反省」を常に心掛けていただけに、「反省」の多い内容となった。
4連打で幸先良く先制したが、その後、安打は出るも、なかなか追加点が挙げられなかった。2試合完封のエース吉元は制球難で6四死球、6回途中で右腕・竹下にスイッチせざるを得なかった。持ち味の守備も3失策を喫して失点に絡んだ。
「プレッシャーをかけすぎたのかもしれない」と今熊監督。昨秋のベスト8を超える第1関門を迎えて、選手の発破をかけたのが、かえって硬くなり、本来の野球を見失った。
それでも「負けパターン」(今熊監督)の展開を同点で踏ん張り、タイブレークの延長にもつれてからは「冬場振り込んだ成果を出せた」(田中主将)。打線がつながりのある攻撃を見せ、「前の打席まで自分だけが1本も打てていなかった」という悔しさをぶつけた田中主将のグランドスラムで8得点のビッグイニングを締めくくった。
何よりの反省は「守備から攻撃のリズムを作れなかった」(田中主将)こと。準決勝はそういう野球ができるよう、課題克服を目指す。