試合レポート

【春季東京都大会】都立雪谷が序盤で決着、元国士舘・永田監督率いる明星は初回にまさかの乱れ

2024.04.02


<春季東京都高校野球大会:都立雪谷13-3明星(5回コールド)>◇1日◇1回戦◇府中市民

明星は今シーズンから国士舘の監督としてセンバツで4強2度など、輝かしい実績を誇る永田昌弘が新監督に就任した。ユニホームも、今までは白地に赤いアンダーシャツだったが、この試合からグレーの地に、えんじのアンダーシャツに変わった。まさに「ニュー明星」のお披露目の試合であったが、結果は厳しいものになった。

1回、都立雪谷は、1番の小原 陽が右前安打を放つ。2番・高瀬 航大のバントは内野安打になり、明星の先発、エース・寺澤 拓実投手(2年)の投球が完全におかしくなった。ここから3人続けて四球で、押し出しにより都立雪谷が2点を先制する。さらに6番・山本 倖大、7番・財津 佑頼が続けて犠飛を放って、さらに2点を追加した。都立雪谷は2回も1番・小原の三塁打などで1点を追加する。

都立雪谷は背番号18の右腕・長浜 寛人投手が先発。伊達昌司監督が、「コントロールがいいので、試合を作れる」ことを期待しての先発だった。2回、明星は、この回先頭の6番・高松 優伍内野手(3年)が死球で出ると、すかさず二盗し、内野ゴロと犠飛で生還し、「永田野球」の片鱗をみせた。

しかし、3回、都立雪谷は1死一、二塁から5番・財津の二塁打で2点を追加。8番・加藤 聖季の右前安打に続き、9番・長浜のスクイズは野選となり1点を追加。さらに1番・小原の二塁打でさらに1点。2番・高瀬の三塁打で2点を追加するなど、この回一挙に7点を入れた。

都立雪谷の1番・小原は第1打席の右前安打に続き、第2打席は三塁打、第3打席は二塁打と大当たり。伊達監督も、「身体能力は高いです」と言う。また小原は、「1次予選は打てませんでした。体が開く癖があるので、学校のケージで、右方向を意識して練習しました」と語る。その成果が出ての快打だ。

都立雪谷は4回も1点を追加。明星の永田監督が「意地をみせろ」と激を飛ばす中、5回、明星は、都立雪谷の2番手・熊田 航大投手から、1番・目黒 永人内野手(3年)の三塁打、3番・相馬 大輝外野手(3年)の二塁打などで2点を返し、あと1本出れば5回コールドは免れるところまできたが、急遽リリーフした都立雪谷の3番手、アンダースローの早瀬 文音投手に打ち取られ、13対3の5回コールドが成立した。

都立雪谷は夏の大会で先発した背番号1の亀田 修一投手(2年)ら、投手陣は豊富だ。打線も1番の小原をはじめとして、7番の財津など、打順に関係なく鋭い振りをしている。この春、責任教師で早稲田実業出身の西悠介が都立東大和南に異動になった。「お世話になった先生が異動になりました。3回戦まで勝ち進み、早稲田実業に勝つことが恩返しになると思います」と小原は語る。まずは2回戦の工学院大附との試合が重要である。勝てば早稲田実業と夏のシードを賭けた戦いになる可能性が出てくる。

永田監督率いる明星は、厳しいスタートになった。「勝ち方を知らないので本番での心の持ち方がまだまだですね」と語る。とはいえ、「昭和58(1983)年、高校野球の監督としてのスタートもコールド負けでした」と永田監督。83年の春季大会では永田監督率いる国士舘城西大城西に5対12でコールド負けを喫している。永田監督はベテランとはいえ、年齢を重ねても情熱は衰えない。コールド負けのスタートから、チーム力をどう引き上げていくか。今後の戦いを注目したい。

この記事の執筆者: 大島 裕史

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