健大高崎vs報徳学園のセンバツ決勝戦は指導者分業制の先端を行くチーム同士の対戦だ!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.13』】
健大高崎・青柳博文監督と赤堀 佳敬コーチ※写真は2021年取材時のもの
名門・報徳学園も指導方針を転換。6チーム編成で練習メニューを組む
夏に15回、センバツ23回出場の名門・報徳学園も現在、分業制を敷いています。報徳学園といえば、永く名将・永田 裕治監督(日大三島)がまとめ上げるチームでした。永田監督を部長としてチームを支えていた大角 健二監督が2017年センバツ後から監督に就任しました。
最初はすべて自分がやっていたといいます。しかし、なかなかチーム作りがうまくいかないことに悩んだ大角監督は、宮崎 翔コーチに練習メニューを全面的に任せることになりました。現在、92人も部員がいる報徳学園。宮崎コーチは6チーム編成で練習メニューを組み、2チームはグラウンド、別のチームはトレーニング、オフと分かれていきます。
投手陣は磯野 剛徳部長が指導。151キロ右腕・今朝丸 裕喜投手(3年)の成長を支えてきました。
2020年9月に報徳学園のグラウンドを訪れた時、グラウンドでは宮崎コーチが熱心に選手を指導し、磯野部長は陸上トラックで投手のトレーニング指導を行い、大角監督はグラウンド上でじっと見守っていたことを覚えています。
こうした体制にしたことで大角監督は手応えを感じていました。
「広く浅く指導というのはなくなりましたね。それぞれの持ち場でじっくりと指導ができました。技術的な指導は宮崎ヘッドにお任せすることになりましたので、自分は人間性など精神面の指導が増えました」
また21年から元阪神の葛城 育郎氏が外部コーチに就任。報徳学園の4番・斎藤 佑征内野手(3年)はここまで打率.563の高打率を残しています。好調の要因は葛城氏の指導が大きいと語ります。
「自分は目いっぱい振れるので、なかなか当たらないことが課題でした。だけど葛城さんから軽く振ればいいよというアドバイスをもらってから、捉えることができています」
23年、24年の2年連続センバツ決勝進出は、こうしたチーム運営の賜物ではないでしょうか。
健大高崎、報徳学園に限らず、コーチに任せながらチームを作り上げるチームは増えてきています。高校野球は、組織として選手育成育が行われる時代になってきました。こうしたチームの背景を知ることで、より高校野球を面白く見られるのではないでしょうか。
*『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。
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