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「教員免許を取って野球部を指導するのがゴールではない」早大大学院博士課程に合格!浦和学院・森大監督が心理学研究に打ち込む理由

2024.02.16


森 大監督(浦和学院)

浦和学院の森 大監督が、早稲田大学教育学研究科博士後期課程の受験を行い、合格通知が届いたことを自身のSNSで発表した。
強豪校の現役監督が大学院博士課程に進むのはきわめて異例。森監督に研究を続ける理由について話を聞いた。

筑波大でスポーツ科学を、早稲田大で教育学(心理)を修める

森監督は浦和学院を名門に育て上げた森 士監督の長男で、自身も浦和学院で2007年、2008年夏の甲子園に出場。その後は早稲田大、三菱自動車倉敷オーシャンズでプレー。2015年に引退した。

森監督の本格的な研究が始まったのは、引退の翌年である。浦和学院のコーチを務めながら、体育免許取得のために、筑波大大学院に入学。スポーツ科学を学んだ。
「トレーナー、動作解析のプロ、栄養士といったすごいスキルを持った専門家と連携をしながら、チームを強化する方法を学びました」(森監督=以下同)
筑波大での研究が現在の浦和学院野球部の運営の基礎になっている。チームにはトレーナー、栄養士が付いて、選手の徹底的なフィジカル強化を図っているのだ。

続いて森監督は早稲田大学の大学院に進む。社会科の教員免許取得を目指しながら、心理学を学ぶことを決めたのだ。
「僕は当時から、将来的に野球部の監督をやりたいと思っていました。筑波大で専門家の方々と連携するチーム運営方法を学んだので、次は監督として教育心理学をしっかり学びたいと考えました。生徒たちのメンタル面のケア、自分の指導を生徒たちにどう伝えるのかといったことを学びたいと思ったのです。
当時、動作解析などを極めている方はかなりいらっしゃいました。しかし、心理面を極めて、選手の指導に携わる方はあまりいませんでした。私が研究することで、今後の野球界に寄与できるのではないか、という思いがありました」

ベンチで指揮を執る森 大監督

大成功を収めた「朝練廃止」も心理学の成果

早大で森監督が修士論文のテーマとして研究したのが「PM型理論」。聞きなれない言葉だが、いわゆるリーダーシップ理論の1つである。
高校野球の現場に置き換えると、規律を重視しながらチームをまとめるのがP型。選手の自主性を尊重するのがM型だ。

森監督の研究によると、昔の高校野球は、強い規律でまとめるP型のチームが圧倒的に多かった。しかし、2018年夏の甲子園出場校の選手、指導者に森監督がアンケートを取った結果、規律と選手の自主性を両立したPM型のチームが増えており、戦績にも直結していた。この調査をまとめた森監督の修士論文は大学でも高く評価されている。

心理学の知見を得た森監督は自分の指導にも選手の心理を意識しながら行うようになった。
「PM理論を学んだことは、間違いなく指導に活きています。
まず、『何でお前分からないの?』という押し付けがなくなりました。選手の性格に応じて、話の仕方を意識するようになりました」

2021年秋に監督に就任すると、朝練を廃止した。長い睡眠時間があったとしても、なにかストレスを抱えたまま睡眠を取ると、浅い睡眠になり、体も大きくなりにくいことが分かったからだ。
すると選手たちはみるみる体が大きくなり、半年間で10キロ近く増量した選手がでてきた。その1人がロッテに入団した金田 優太内野手。体重が10キロ増えたことで、強打者へ成長し、高卒プロにつながったのだ。こうした取り組みも心理学を勉強しなければ、できなかった発想だと森監督は語る。

次のページ:
「博士課程受験の理由は「生徒の気質の変化」」
「保護者もより安心できるチーム作りを」

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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