悲願成就!大学準硬式の2023年 ユニークすぎる主要大会を振り返る
甲子園大会で勝利した東日本選抜
2023年も残りわずか。日本野球界はWBC世界一に始まり、高校野球では夏の甲子園で慶應義塾が107年ぶりの日本一。プロ野球では阪神が38年ぶり日本一達成など、例年以上に大盛り上がりだったといっていい。
大学準硬式界も同じように大きく盛り上がった1年だった。まだまだマイナーではあるものの、今年、遂に史上初となる甲子園での大会を開催したのだ。
大学準硬式にとって歴史的な1年になった2023年を準硬式3大大会の戦績とともに振り返りたい。
大学準硬式のユニークな「3大大会」
と、その前に、そもそも大学準硬式界における3大大会とは何か。ご紹介しよう。
まずは毎年8月に開催される「全日本大学準硬式野球選手権大会」。いわば夏の甲子園に相当する、大学準硬式最大の大会。多くのチームが、この大会への出場や優勝を目指す。
この大会に続くのが、毎年9月開催となる「清瀬杯全日本大学選抜準硬式野球大会」だ。いわゆるセンバツ甲子園に近い立ち位置である。8月の大会の出場を逃して悔しい思いをしたチームが、今大会に出場する。敗戦から学び、もう一度、日本一へ挑戦する場となるのだ。
3つ目が、選ばれた選手だけが参加できる、11月開催の「全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会」。選抜チームを編成して、地域のプライドをかけて日本一を目指すという準硬式独自のシステムで行われるユニークな大会だ。
今年の3大大会はどうなった?
今年は3大大会で関東、関西、九州の3地区が力を発揮した。
8月の「全日大会」では関西の大阪経済大が制した。2021年以来の制覇となったが、決勝には3年連続進出と近年安定した強さを見せている。関西の雄として来年以降も君臨するだろう。
その大阪経済大と熱戦を演じた日本大をはじめ、関東勢が3校4強入り。残念ながら優勝を逃したが、関東勢の実力を十分に見せつけた。
9月の「清瀬杯」でも、関西勢が強さを発揮した。ベスト4には大阪教育大、関西大人間健康学部が勝ち残った。さらに東海地区の日本福祉大が勝ち上がってきたが、優勝は九州地区の久留米大。大会初優勝という結果を収め、歓喜の輪を作った。
そして11月に行われた「9ブロック大会」では関東、関西、九州の3地区が決勝トーナメントに進出。抽選の兼ね合いで、準決勝で関東地区と関西地区が激突。6回終わって3対5で関東地区がビハインドの展開だったが、7回一挙に7点の猛攻で逆転。決勝の九州地区との一戦も延長10回にもつれる激戦の末に、関東地区が19回目の優勝を手にした。
2024年も関東、関西、そして九州地区が軸になって盛り上げるのか。それとも、北海道など他の地区が盛り上げるのか。2023年は歴史的な1年になったからこそ、次の1年で勢いを持続できるかが大事だ。転換期を迎えつつある大学準硬式の2024年も楽しみにしたい。
<2023年の主要大会結果>
第75回全日本大学準硬式野球選手権記念大会
優勝:大阪経済大(関西)
準優勝:日本大(関東)
ベスト4:慶應義塾大(関東)、中央大(関東)
清瀬杯第55回全日本大学選抜準硬式野球大会
優勝:久留米大(九州)
準優勝:大阪教育大(関西)
ベスト4:関西大人間健康学部(関西)、日本福祉大(東海)
全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲子園大会-2023
東日本選抜6-4西日本選抜
第41回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会
優勝:全関東選抜
準優勝:全九州選抜
3位:全関西選抜
文=田中 裕毅(大学準硬式評論家)