山﨑 颯一郎(敦賀気比ーオリックス)、投手として成長できた「決勝の逆転負け」<思い出の明治神宮大会>
今季パ・リーグ3連覇を達成したオリックスには、剛速球を武器にする若手右腕がいる。プロ7年目の山﨑 颯一郎投手(敦賀気比出身)は、高卒から苦労を重ねて這い上がってきた。
2016年ドラフトの6位で入団した。2019年に右肘の手術を受け、育成契約となった時期を乗り越え、2021年に1軍初登板。2勝を挙げて日本シリーズでも好投した。22年には160キロをマークするなど、中継ぎで活躍すると、23年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に追加召集され、シーズンでは27ホールド、9セーブをマークしてリーグ優勝に貢献した。花が開くまでに時間はかかったが、今や常勝軍団の投手陣の1人として、大きな成長を果たしている。
高校時代も華々しい活躍を見せることはできなかったが、2015年秋の明治神宮大会では、山﨑が一躍脚光を浴びることになった。初戦となった準々決勝の創志学園(中国)戦で先発すると、4安打11奪三振1失点の完投勝利を飾る。準決勝の青森山田(東北)戦では、8回途中からリリーフ登板して、チームの逃げ切り勝利に貢献した。決勝は高松商(四国)に終盤に逆転負けを喫し3対8で敗れたが、先発7回までは無失点。完投負けにも非凡な存在感を見せつけた。「北陸のダルビッシュ」と呼ばれ、一気に注目されることになった。
この大会後、周囲の高評価とは裏腹に、山﨑は生まれ変わったという。この決勝で味わった終盤の逆転負けの悔しさをはね返すために、練習を一から見直した。結局、チームとしては3年春のセンバツでは2回戦敗退、3年夏も甲子園に届かなかったが、3年センバツでは完封勝利をマークするなど、自身は大きく成長することができた。明治神宮大会の敗戦は、山﨑のその後の成長のきっかけになったことは間違いない。
今年の日本シリーズ、オリックスは日本一連覇を達成することができなかった。第5戦で逆転負けの悔しさを味わった山﨑が、この悔しさを糧に、来季以降さらに大きく成長すると信じている。