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「秋の高校野球日本一」明治神宮大会を展望する 優勝候補は大阪桐蔭! 作新学院、広陵が追う

2023.11.14


11月15日に開幕する第54回明治神宮大会。高校の部では全国10地区の王者たちが激突し、「秋の日本一」を決める。今回は組み合わせを見ながら、大会を展望していきたい。

絶対的な投手力を誇る大阪桐蔭が優勝候補!


優勝候補の筆頭は、やはり3連覇を狙う大阪桐蔭だ。一番の強みは140キロ後半の速球を投げ込む投手が4人いることだ。

平嶋 桂知投手(2年)最速154キロ右腕
森 陽樹投手(1年)最速151キロ右腕
中野 大虎投手(1年)最速149キロ右腕
南 陽人投手(2年)最速146キロ右腕

この投手陣、単に球が速いだけではない。

近畿大会では4試合でわずか4失点。完封が2試合なのである。大阪桐蔭の初戦は17日で、準々決勝からの登場。決勝まで進めば、4日間で3試合こなすスケジュールではあるが、近畿大会はすべて継投で勝ち上がっているため、投手運用は問題ないだろう。一方の打線は、近畿大会では本塁打が1本もなかった。これは会場となったシティ信用金庫スタジアム(通称:舞洲)が広かったからだろう。舞洲よりも狭い神宮球場では、本塁打が出やすくなるはずだ。

参考までに両球場広さはあげておく。
神宮球場         両翼97.5m、中堅120m
シティ信用金庫スタジアム 両翼:100m、中堅:122m
この数字だけでは分からないが、舞洲は左中間、右中間も広い。ホームから逆風が吹くこともあり、その場合はさらに本塁打の確率は下がる。

狭い神宮球場で大阪桐蔭の主力打者からはどんな打撃を見せるのか楽しみだ。4番のラマル ギービンラタナヤケ内野手(2年)から一発は飛び出すのか。大阪桐蔭打線が先制パンチ与えられれば、一気に爆発する可能性はあるだろう。

大阪桐蔭と対戦する熊本国府、関東一の戦力は?

大阪桐蔭熊本国府(熊本)と関東一(東京)の勝者と対戦する。
熊本国府は九州大会で打率5割を残した4番・中嶋 真人内野手(2年)、九州大会準々決勝でサヨナラ打を放った5番・岡本 悠生外野手(2年)がキーマン。投手では背番号1の右腕・坂井 理人投手(2年)と、背番号10の左腕・植田 凰暉投手(2年)の2枚看板だ。坂井は本格派、植田は左の技巧派と、タイプが異なる投手がいるのは強い。九州大会で見せた快進撃を見せることができるか。
関東一も総合力も高く、機動力を活かし、スピード感あふれる野球を実践する。選手のタイプもスラッガー・髙橋 徹平内野手(2年)、俊足打者・越後 駿祐内野手(1年)、左の技巧派・畠中 鉄心投手(2年)、145キロ右腕・坂井 遼投手(2年)と揃っている。大阪桐蔭に対抗できるチームだ。

大阪桐蔭と同ブロックの作新学院も優勝を狙えるチーム

大阪桐蔭と対抗馬となるのは、作新学院(栃木)だろう。今年の関東大会では、チーム打率.430を記録しており、速球投手、技巧派投手、どれも対応できる。大阪桐蔭の速球投手陣をしっかりと捉えることができる技術の高さはある。
キーマンは最速147キロ右腕・小川 哲平投手(2年)だ。速球、変化球の精度自体は悪くないが、まだ球の速さの割には、打者に振り抜かれシーンが見られ、失点が多いのが気になる。全国レベルの強力打線を抑える投球術を神宮大会で見せることができるか。

対する北海(北海道)は今夏の甲子園の経験者が揃う。1番・片岡 誠亮外野手(2年)、2番・谷川 凌駕内野手(2年)、3番・幌村 魅影内野手(2年)、4番・宮下 温人外野手(2年)、5番・大石 広那捕手(2年)はベンチ入りメンバーだ。打ち合いに持っていきたい。

大阪桐蔭と逆ブロックは広陵を筆頭に実力派チーム揃い

高尾響(広陵)

大阪桐蔭とは逆側のブロックでは、2年連続で神宮大会準優勝の広陵(広島)が頭一つ抜け出している。エース・髙尾 響投手(2年)の投球は以前よりも洗練さを増しており、好調時では簡単に打ち崩せない。また、只石 貫太捕手(2年)を中心にしぶとい打者が揃い、先攻逃げ切りのスタイルで勝ち切るチームだ。
対する星稜は、本格派右腕・道本 想投手(1年)、切れのある速球を投げ込む左腕・佐宗 翼投手(2年)の2枚看板で守り切るチームスタイル。
両校の神宮大会での対決は、2018年以来となる。星稜奥川 恭伸投手(ヤクルト)と、広陵河野 佳投手(広島)が投げ合い、来年のドラフト1位候補・宗山 塁内野手(明治大)は3番ショートでスタメン出場し、奥川から2安打を記録している。前回は星稜のコールド勝ちだったが、今年はどんな結果になるのか。
この試合の勝者は青森山田(青森)と対戦する。青森山田は背番号1の関 浩一郎投手(2年)、背番号10の櫻田 朔投手(2年)の2枚看板に注目だ。櫻田は東北大会決勝戦で八戸学院光星相手にノーヒットノーランを達成し、注目度が高まっている。3校とも総合力が高く、どこか勝ち上がってもおかしくない。

豊川(愛知)は東海大会打率6割超えの強打者・モイセエフ ニキータ外野手(2年)を中心に巧打者が揃い、打線が繋がると大量得点が期待できる。豊川はモイセエフを乗せて早めに主導権を握る戦いをみせたい。高知はセンバツに経験した辻井 翔大投手(2年)、大型右腕・平 悠真投手(2年)の二枚看板の実力は今大会の出場している投手陣の中でもトップクラスの力量がある。豊川の強力打線を抑え、守り勝つ野球をみせたい。
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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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