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安全限界と有効限界を知ろう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2023.11.07


運動処方の自由度(池上、1985より)

体力強化を念頭に置いたフィジカルトレーニングやランニング、そして野球の技術練習も含め、一日の総運動量をコントロールすることはケガ予防とパフォーマンスアップには欠かせないものです。皆さんも経験があると思いますが、総運動量の多い日が続いてしまうと疲労回復に時間がかかってしまいますし、疲労によってケガをするリスクが高まります。たとえば長時間の技術練習後にさらに高強度のランニング、トレーニングなどを続けて行ってしまうといったケースです。
一方で体力的に余裕のある運動強度では、パフォーマンスアップに必要な運動量が不足する(なかなか上手くならない、強くならない)といったことが起こります。そこで総運動量の考え方としては「ケガをしないギリギリのレベル(安全限界)で、かつ体力強化につながる(有効限界)」ところを目指すことになります。運動は「種目」のほかに「強度」「時間」「頻度」という3つの要素があり、これらの要素が全体的な運動量を判断する目安となります。

安全限界とは「このレベルを超えたらケガをしてしまいますよ」という限界値であり、これは個人個人によって違いがあります。総運動量が安全限界を超えてしまうと、特に体力的に弱い部分からケガをしやすくなります。例えばランニングにおける肉離れは、練習量や強度が選手の持つ筋力、柔軟性、筋持久力などを超えたときに起こりやすくなります。またトレーニングにおいてはトレーンニング経験も大きな要因です。正しいフォームでトレーニングを行うことが出来るかどうか(=ケガをしないで筋力強化が出来るか)というのは、トレーニングに慣れていない初心者と、数年トレーニングを行ってきた選手とでは変わってくるからです。
一方、有効限界は運動効果が得られる最低ラインの運動レベルを指します。トレーニングにおける過負荷(オーバーロード)の法則では「ある一定以上の運動負荷でなければ、目的とする体力向上が見込めない」ことが知られており、いつも同じ負荷のトレーニングを続けていると、体が負荷に適応してしまって思ったほどトレーニング効果が得られないということになります。体力レベルを上げたい、野球に活かせる体づくりをしたいという場合は、やはりある程度の負荷をかけて自分の体を追い込んでいくことが必要となります。ただし自分の体力レベルより大きな負荷をかけ続けると疲労が蓄積されてしまうので、疲労回復を促すためのセルフコンディショニングは日々実践するようにしていきましょう。

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 西村 典子

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