阪神ドラフトに「黄金時代の予感」、中日は「低迷からの脱却は遠い」 セ・リーグドラフト総括
122名が指名された今年のドラフト。セ・リーグのドラフトの総括を行いたい。全体的にバランスがよく「球団の礎」を築こう、という意図を感じたパ・リーグの指名とは異なり、何かチグハグ感が見えた球団もあった。
【パ・リーグドラフト総括を読む】
【12球団の指名選手一覧】
阪神 ドラフト90点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 下村 海翔 | 九州国際大付-青山学院大 | 投 |
2 | 椎葉 剛 | 徳島インディゴソックス | 投 |
3 | 山田 脩也 | 仙台育英 | 内 |
4 | 百崎 蒼生 | 東海大星翔 | 内 |
5 | 石黒 佑弥 | 星城-JR西日本 | 投 |
6 | 津田 淳哉 | 高田商-大阪経済大 | 投 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 快 | 富山サンダーバーズ | 投 |
2 | 福島 圭音 | 聖望学園-白鴎大 | 外 |
選択終了 |
単独1位で下村を獲得した。制球力が非常に高く、カットボールの精度も高い投手だ。コントロールの良い投手を活かすのが上手い阪神育成環境に合う投手ではないか。2位の椎葉は直球のスピード、質で勝負する投手。下村とは対象的な速球投手がいるのは非常に良い。5位の石黒は鋭いカットボールが持ち味の右腕。角度のある直球を武器とするのは6位の津田だ。阪神はそれぞれ個性が違った投手を補強しているのが分かる。高度な戦略を感じた。
野手でも同様の戦略が見られる。3位の山田は野球センス、野球脳が高い好遊撃手。この2年間、甲子園で最も勝ってきた仙台育英の主将を指名したのは大きい。4位では同じ遊撃手だが、スケールの大きい百崎を指名している。
育成でも俊足の福島、速球派の松原と、とにかく隙がない指名。ペナントだけでなく、ドラフトでもセ・リーグ1位と呼んで差し支えないだろう。
広島 85点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 常廣 羽也斗 | 大分舞鶴-青山学院大 | 投 |
2 | 高 太一 | 広陵-大阪商業大 | 投 |
3 | 滝田 一希 | 寿都-星槎道都大 | 投 |
4 | 仲田 侑仁 | 沖縄尚学 | 外 |
5 | 赤塚 健利 | 中京学院大中京-中京学院大 | 投 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 杉田 健 | 日大三島-日本大国際関係学部 | 投 |
2 | 佐藤 啓介 | 中京大中京-静岡大 | 内 |
3 | 杉原 望来 | 京都国際 | 投 |
選択終了 |
現在の広島の中心投手は大卒で固められているが、その“原理”に従った戦略だった。1位の常廣はローテーション入りが期待できる素材。2位の高は先発、中継ぎのどちらでもいける。1位常廣という目玉投手がいるからこそ、高は伸び伸びと育成に専念できるのではないか。3位の滝田は変則の速球派。大きな爆発力を秘めた0か100の素材だ。4位の仲田は純粋な「一塁スラッガー」。「一塁スラッガー」は評価されにくいが、他の高校生スラッガーより将来性は上と見て本指名に至ったのだろう。5位の赤塚も長身の本格派右腕で、当たれば大きい。
また下位もカープが好む負けん気が強い左腕・杉原、好素材の右腕・杉田を獲得。うまく育てば、毎年優勝争いができそうなチームになれそうな期待が持てるドラフトだった。
DeNA 75点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 度会 隆輝 | 横浜高-ENEOS | 外 |
2 | 松本 凌人 | 神戸国際大付-名城大 | 投 |
3 | 武田 陸玖 | 山形中央 | 投 |
4 | 石上 泰輝 | 徳島商-東洋大 | 内 |
5 | 石田 裕太郎 | 静清-中央大 | 投 |
6 | 井上 絢登 | 徳島インディゴソックス | 外 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 高見澤 郁魅 | 敦賀気比 | 内 |
2 | 清水 麻成 | 樹徳 | 投 |
3 | 小笠原 蒼 | 京都翔英 | 内 |
4 | 庄司 陽斗 | 青森大 | 投 |
5 | 近藤 大雅 | 専大北上 | 捕 |
選択終了 |
1位で競合の末、度会を獲得した。ホームランバッターのように見えるが、まずはコンタクトヒッターに育てるべき。競争相手に6位の井上もいるのが頼もしい。井上は逆にスラッガー路線を目指すべき。三塁を始めるというが、ポスト佐野になれる素材だ。この2人以上に将来首位打者になれる素質を持ったのが、3位の武田だ。
ただ気になったのは本指名、育成含めて左打者が多いことである。既存の左打者の危機感を煽ったものなのだろうか。投手では右サイドの松本が即戦力として期待できそう。好選手を多く獲得できたが、どの選手が突き抜けた活躍を見せるか。期待したい。
巨人 70点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 西舘 勇陽 | 花巻東-中央大 | 投 |
2 | 森田 駿哉 | 富山商-法政大-HONDA鈴鹿 | 投 |
3 | 佐々木 俊輔 | 日立製作所 | 外 |
4 | 泉口 友汰 | 大阪桐蔭-青山学院大-NTT西日本 | 内 |
5 | 又木 鉄平 | 日本生命 | 投 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 三浦 克也 | 高岡向陵-東京国際大 | 投 |
2 | 村山 源 | 鹿屋中央 | 内 |
3 | 宇都宮葵星 | 松山工-愛媛マンダリンパイレーツ | 内 |
4 | 田上 優弥 | 日大藤沢 | 内 |
5 | 園田 純規 | 福岡工大城東 | 投 |
6 | 千葉 隆広 | 旭川明成 | 投 |
7 | 平山 功太 | 千葉スカイセイラーズ | 外 |
選択終了 |
評価が分かれるドラフトだった。高卒の有望選手を獲りにいく傾向にあるが、今年は本指名で社会人、大学生のみの指名。実戦力の高い選手を指名し、なんとか来季の逆襲を図りたかったのだろう。
1位の西舘はメンタルが安定をしている。速球は素晴らしいけれど、一軍ではイマイチ…という若手投手が多い中で、現場の期待に応えた投手を狙い通り1位指名できたのは良かった。2位の森田は苦しんだ時期もあった中で、つかんだドラフト指名だ。覚悟をもった投手が入ることで巨人の投手陣の活性化が見込まれる。3位以降の顔ぶれを見ても即戦力重視ですぐに紅白戦、オープン戦で試されそうな顔ぶれ。
全員即戦力、という選択。既存の選手を危機感を煽らせる意味では悪くない。
ヤクルト 75点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 西舘 勇陽 | 花巻東-中央大 | 投 |
外れ1 | 西舘 昂汰 | 筑陽学園-専修大 | 投 |
2 | 松本 健吾 | 東海大菅生-亜細亜大-トヨタ自動車 | 投 |
3 | 石原 勇輝 | 広陵-明治大 | 投 |
4 | 鈴木 叶 | 常葉大菊川 | 捕 |
5 | 伊藤 琉偉 | 新潟アルビレックスBC | 内 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 高橋 翔聖 | 投 | |
2 | 高野 颯太 | 三刀屋 | 外 |
選択終了 |
1位の専修大の西舘はタフネス。パワー型の先発右腕へ育ちそう。完投能力も高く、二軍で慣れてから、一軍ではしっかりとイニングを重ねて2年目以降の飛躍を期待したい。
そして即戦力で活躍できる松本を指名し、現有戦力の底上げに成功できそうだ。4位の石原も変化球の精度が高く、速球の切れも良い。また打撃のポテンシャルが高い5位の鈴木も5年後には正捕手争いが期待できる人材だ。守備の良い6位の伊藤の指名も成功し、育成ではスラッガー候補の高野も指名できた。西舘、松本、石原の早期の戦力化できれば、課題の投手力もアップするだろう。
中日 50点
支配下
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 度会 隆輝 | 横浜高-ENEOS | 外 |
外れ1 | 草加 勝 | 創志学園-亜細亜大 | 投 |
2 | 津田 啓史 | 横浜高-三菱重工East | 内 |
3 | 辻本 倫太郎 | 北海-仙台大 | 内 |
4 | 福田 幸之介 | 履正社 | 投 |
5 | 土生 翔太 | 茨城アストロプラネッツ | 投 |
6 | 加藤 竜馬 | 東邦ガス | 投 |
選択終了 |
育成
順位 | 選手名 | 所属 | 守備 |
1 | 日渡 騰輝 | 霞ヶ浦-茨城アストロプラネッツ | 捕 |
2 | 菊田 翔友 | 愛媛マンダリンパイレーツ | 投 |
3 | 尾田 剛樹 | 栃木ゴールデンブレーブス | 外 |
4 | 川上 理偉 | 大分B-リングス | 外 |
選択終了 |
1位の草加は伸びしろがたっぷりある大学生右腕。加えて名門・亜細亜大に揉まれただけあって、ピッチング以外の技術も高い。吸収力の高さで勝負してほしい。
有望な野手が多い中、投手不足を救うのは、5位の土生、育成の菊田か。4位の福田はとにかく大事に育てていきたい。
2位に津田、3位に辻本と、ショートを立て続けに指名したのは、やはり今季、二遊間の力不足なところがあったのだろう。編成ミスは否めないが、津田、辻本にとってはチャンスを与えられた、と捉えてほしい。ただ、今回のドラフトが低迷する中日にとって「救いのドラフト」になったようには見えなかった。
原タツノリ
2023-10-30 at 8:23 PM
しょうもない記事ですね。頑張ってください!