【東京】1回戦 創価 vs 都立府中工科
創価がコンパクトに振り切って12安打12点で府中工科にコールド勝ち
<秋季東京都高校野球大会:創価12-2都立府中工科(5回コールド)>◇8日◇1回戦◇多摩一本杉
1次ブロック予選の会場校にもなっている都立府中工科。都立校としては比較的グラウンド環境などにも恵まれているということもある。ただ、やはり会場校としては、1次予選は突破して本大会に進出することを望まれているということにもなる。そういう中で都立拝島、郁文館を下して1次予選を突破してきた。
創価は、この秋の9月1日から指揮官が堀内 尊法監督に代わるということがあって、チームとしてもちょっと動きがあったといえようか。1次ブロック予選では高輪、都立八丈を大差で下して、都大会に進んだ。
初回、創価は先頭の嶋崎 正秀内野手(2年)がいきなり二塁打すると、2本の内野ゴロで生還して先制する。しかし、都立府中工科もその裏、先頭の森安 怜央外野手(2年)が四球を選ぶとすかさず二盗。一ゴロで三塁へ進むと、石田 結叶捕手(2年)の右犠飛で同点とした。ここまでの流れでいえば、都立府中工科としても、悪いものではなかった。取られてすぐに追いつくという展開でもあり、自分たちのペースに持ってこられる可能性も十分にあった。
しかし、創価は地力で上回っていた。2回に1死から連打でチャンスを作り、走塁ミスもあったが、2死一、二塁から9番・大久保 悠輝外野手(2年)の二塁打で2点を奪う。さらに、1番・嶋崎も右前打で二塁走者をかえしてこの回3点。こうして追いつかれてすぐにまた突き放すあたりは、やはり創価の勝負強さと言っていいであろう。
4回にも8番・藤岡 圭太外野手(2年)の適時打で1点を追加した創価。5回には1番からの好打順で失策からチャンスを広げて、打者11人で5安打を集中して7点という大量点を奪った。創価の各打者は、力はあるのだけれども、大振りはしないで、いずれもコンパクトに振り切って、バチンパチンと逆らわずに、はじき返していくという打法に徹していた。だから、この試合でも5イニングで12安打を放ったが、長打は2本のみ。しっかりと内野の間を抜いていく打法が素晴らしかった。特に、6番に入っていた森山 秀敏投手(2年)などは3打数3安打。しっかりとチャンスメークして自らを楽にしていた。
そして、投げても森山投手は4イニングを1安打1失点に抑えた。5回はもう1人の左腕・野中 結人投手(2年)がリリーフしたが、失策と四死球で満塁としてしまい、捕逸で1点を失ったものの、コーナーを上手に突きながら交わしていった。
この秋に大学から異動して就任した堀内 尊法監督は、「高校野球は、選手たちが純粋に決めごとを守ってくれていいですね。今日は、しっかりとつないでいってくれていい形で得点ができた」と、まずは本大会での勝利を喜んでいた。
堀内監督は、シートノックでは左右の両方でノックの打球を打っていた。実はこれが野手を大きく育てていく要素にもなっている。今年、プロ野球・巨人で躍進中の門脇 誠内野手(創価高出身)も創価大時代に、「この左右、両方から放たれるノックで鍛えられていった」というように、右打者の打球と左打者の打球を交互に捌いていくことで、より球際に強くなっていくということはあるだろうと思われる。そういう意味でも、この秋からの創価の守りにも注目していきたいところでもある。
都立府中工科の髙橋 伸吾監督は、「完敗でしたね。初回は、いい形で追いつけたんですけれども、力の差はあると感じさせられました。これをどう詰めていくのかということになるとは思うのですが、厳しいですね」と、脱帽していた。それでも、都立校の火を消すなという思いで、今後も前へ向かっていこうという意欲は十分に示していた。