試合レポート

【近畿】京都外大西が18年ぶりのセンバツへ大きく前進!序盤の攻勢で履正社を下す(秋季地区大会)

2023.10.30


京都外大西・田中 遙音投手(3年)

<秋季近畿地区高校野球大会:京都外大西10ー7履正社>◇29日◇準々決勝◇大阪シティ信用金庫スタジアム

京都1位の京都外大西が、3季連続の甲子園出場を目指す大阪2位の履正社を下して、18年ぶりのセンバツ出場に大きく前進した。

履正社の先発は最速147キロ右腕の髙木 大希投手(2年)。初戦の滋賀学園(滋賀)戦で1失点完投勝利を収めている相手に対して、京都外大西の上羽功晃監督は「とにかく真っすぐを打ちにいこう」と選手たちに指示を出していた。

すると、初回からその作戦が功を奏する。2死から3番・松岡 耀内野手(2年)が右前安打で出塁すると、「一発で仕留めると決めていた」という4番の相馬 悠人内野手(2年)が初球の直球を振り抜き、左中間を破る適時三塁打を放つ。さらに続く5番・田中 遙音投手(2年)も左前適時打を放ち、1回に2点を先制した。

その裏に内野ゴロの間に1点を返されたが、2回に先頭の8番・持田 諒真内野手(2年)が死球で出塁すると、「とにかく動こうと思っていました」(上羽監督)と初球に盗塁を成功させる。ここで9番・清水 陽耀外野手(2年)が一塁方向にバントを試みると、一塁手の石田 勝一朗内野手(2年)は三塁に送球したが、これが逸れて持田が生還。相手のミスで京都外大西がリードを再び2点に広げた。

これで流れが一気に京都外大西に傾く。無死一、三塁から2番・杉浦 智陽外野手(1年)の左前適時打で1点を加えると、田中と6番・中辻 秀太内野手(1年)にも適時打が飛び出し、この回だけで4得点。「こんな展開になるとはイメージしていなかったです」と上羽監督も望外の大量リードを奪った。

序盤で試合を優位に進めた京都外大西は先発の田中も「最初から球が浮いていてカウントに苦しみましたが、低めに投げておけば野手がカバーしてくれていたので、結果に繋がりました」と直球、チェンジアップ、カーブを上手く交えながら7回まで1失点と好投。8回には2死二塁から松岡の適時打で待望の追加点を奪い、7対1とリードを6点に広げた。

だが、ここから履正社の強力打線が本領を発揮する。8回に連打と死球で無死満塁のチャンスを作り、3番・近澤 賢虎外野手(2年)の遊撃ゴロの間にまず1点。さらに1死満塁から5番・足立 直緒己外野手(2年)が左犠飛を放ち、4点差まで迫った。

それでも18年ぶりのセンバツ出場に熱意を燃やす京都外大西は9回に3点を追加。これで大勢が決したと思われたが、諦めない履正社は1死一、二塁から1番・矢野 塁内野手(1年)の左翼線への適時二塁打を皮切りに4連打と打線が繋がる。1死満塁から足立に左犠飛で2死としたが、3点差に迫られ、なおも一、二塁と本塁打が出れば同点という局面に追い込まれた。

「マウンドに集まった時は『大丈夫やで』と言っていたんですけど、心の中では本当にヤバかったです。つかれというか、履正社さんの打線は穴がないので、プレッシャーは凄くかかりました」と田中は最終回の状況を振り返る。それでも最後は6番・嶋田 翔英捕手(2年)を遊ゴロに打ち取ってゲームセット。土壇場の猛攻を振り切った京都外大西が4強進出を決めた。

「打てるチームではないので、高校生の勢いというか、ノッた時の凄さを感じるゲームでした。チームの雰囲気は最高です。あんなに子どもたちが喜んでいるのを見たことがないです」と上羽監督。試合を重ねるごとに成長を続けた京都外大西は、2010年夏以来、遠ざかっていた甲子園への道を切り開いた。復活した強豪の快進撃はまだまだ続きそうだ。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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