試合レポート

【東京】1回戦 聖パウロ学園 vs 八王子実践

2023.10.09


聖パウロ学園 川畑の決勝打に原田―宮川の好リレーで接戦の八王子対決を制す

<秋季東京都高校野球大会:聖パウロ学園4ー2八王子実践>◇8日◇1回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

1次予選で都立の強豪・都立城東を破った八王子実践と、同じく1次予選で八王子をコールドで破った聖パウロ学園の対戦。力のあるチームを破って本大会に出場した、ともに八王子市に学校がある両校の試合は、引き締まった好ゲームになった。

八王子実践は1年生ながらエースの常谷 駿佑投手(1年)が先発。聖パウロ学園は背番号10ながら、夏まではエースで、今大会は背番号1の宮川 聖治投手(2年)と競い合っている原田 翔奈冬投手(2年)が先発した。「もともと大会では原田が投げていましたから」と、聖パウロ学園の勝俣秀仁監督は言う。

「緊張しました」と言う原田は、2回は無失点で切り抜けたものの、3四球で満塁のピンチを招くなど、やや不安定さがあった。3回、八王子実践は、中堅手の失策で2死二塁から、5番・疋田 隼大内野手(2年)の中前安打で1点を先制する。

その裏、聖パウロ学園は1番・山下 星信外野手(2年)の三塁打と3番・川畑 柚斗内野手(2年)の左前安打で同点に追いつく。

5回、八王子実践は1死二、三塁のチャンスを作るが、4番・奥西 陽大外野手(2年)の二ゴロで三塁走者は三本間に挟まれアウトになり、さらに二塁走者までも挟殺プレーでアウトになり、一瞬にしてチャンスがついえた。最近の高校野球は、挟殺プレーをうまくできないチームが多くなっているが、聖パウロ学園は、そうした基本的なチームプレーの練習をしっかり積んでいることが伺えた。

その裏、聖パウロ学園は、この回先頭の9番・平田 藍斗内野手(2年)が左翼に大きな打球を放つ。平田は9番打者で体も大きくないので前よりに守っていた左翼手の頭を越える三塁打となる。続く1番・山下 星信外野手(2年)の左犠飛で平田が還り、聖パウロ学園が勝ち越した。

それでも八王子実践は7回、四球で出た走者が犠打で二塁に進み、2番・齋藤 謙哉外野手(2年)の中前安打で還り、同点に追いつく。聖パウロ学園の原田の登板は7回までで、8回から背番号1の宮川が登板した。原田は2点を失ったものの、夏まではエースだっただけあり、しっかり試合を作る投球をした。ただし「コントロールが乱れ、四球が多かったです」と原田が言うように、制球力が課題となった。

一方、八王子実践の常谷は、6回までに2失点はしたものの、直球に球威があり、スライダーなどの変化球にもキレがあって好投した。しかし7回は四球に犠打エラーで一、二塁とし、聖パウロ学園の3番・川畑に二塁打を打たれ、2人が還り2点を失う。結局、この2点が決勝点になった。決勝打の川畑はこの試合、4打数4安打の活躍であった。

8回から登板した宮川は、右翼手・村越 温斗外野手(2年)の好守備もあって8回、9回を3人ずつで抑え、4対2で聖パウロ学園が逃げ切り、2回戦に進出した。

八王子実践の河本ロバート監督は、投手育成には定評があるだけに、先発の常谷だけでなく、2番手として登板した岡本 優誠内野手(1年)も、ともに1年生ながら可能性を感じさせる投球を繰り広げた。春以降の成長が楽しみなチームである。

また聖パウロ学園の勝俣監督は、「(八王子実践の)常谷投手は夏も練習試合で対戦したので、接戦になると思っていました」と言う。こうした接戦をものにしたことは、聖パウロ学園にとっては、貴重な経験になる勝利であった。2回戦の国士舘は強豪だが、好ゲームを期待したい。

取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

1 Comment

  1. 大學OB

    2023-10-17 at 8:05 AM

    甲子園目指して頑張れ

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.22

【宮城】仙台育英は逆転勝ち、聖和学園が接戦を制して4強入り<春季県大会>

2024.05.22

【北信越】帝京長岡の右腕・茨木に注目!優勝候補は星稜、23日に抽選会

2024.05.22

【秋田】明桜と横手清陵がコールド勝ちで4強入り<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.04.23

床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?