【鹿児島】2回戦 徳之島 vs 樟南
劣勢を覆した徳之島のベンチワーク<鹿児島秋季大会>
<第153回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:徳之島5-2樟南>◇28日◇2回戦◇平和リース
徳之島は2回1死から3連打を浴びせ、7番・久保 聖(2年)の右前適時打、8番・太村 駿之介(2年)の犠飛で2点を先制した。
4回には9番・里山 聡汰(2年)の右前適時打で3点目を挙げた。
その裏、樟南は2死二塁から8番・西田 裕星(2年)の中越え三塁打で1点を返した。
7回には2死一、三塁として3番・坂口 優志(2年)が左前適時打を放って1点差に詰め寄った。
徳之島の先発の右腕・住田 悠(2年)は4、7回に1点ずつ失ったが、丁寧な投球で試合を作った。
5回以降、拙攻続きで追加点が奪えなかった徳之島が、9回に4番・上原 龍樹(2年)がダメ押しの2ランを放って突き放した。
8、9回は2番手のエース嶺本 倫太郎(2年)が無失点で切り抜け、3点差で接戦をものにした。
「もう1度自分のバットで流れを持ってきたかった」
9回表1死二塁の場面で4番・上原はその一念で打席に立つ。上原らしい初球フルスイングの打球は、打った瞬間にスタンドインと分かる特大2ランとなり、徳之島に勝機を手繰り寄せた。
樟南を上回る16安打を放ち、終始リードはしていたが、決して楽な展開ではなかった。走塁ミスなどで思うように得点は伸びなかった。1点差まで追い上げられ、いつ覆されてもおかしくない状況だったが「ベンチワークがとにかく良かった。全員が顔を上げて、前向きな言葉を発し続けていた」(地頭所眞人監督)。
8回無死一、二塁と、相手のミスも絡んで得た絶好の得点機も拙攻で生かせなかった。左飛を打ち上げた勝 亮翔主将(2年)だったが「自分が下を向いていたらチームも下がってしまう」と内心の動揺を表に出さず、顔を上げて前向きな言葉を発し続けた。その姿勢が相手に流れを最後まで渡さず、9回の上原の2ランにつながった。
「やっと私学に勝てて、先輩たちに恩返しができた」と勝主将は喜ぶ。昨秋、今春と8強入りしNHK旗の出場も果たしたが、鹿屋中央、鹿児島城西、神村学園と強豪私学の壁にはね返され続けてきた。力の差を埋めるのはもちろんだが「ミスした後に自分たちで下がらないことを練習からずっとやってきた」(上原)。遊撃手・勝主将は失点につながるエラーもあったが「前のチームで散々エラーし続けたので慣れていた」と苦笑する。9回は左前に抜けるライナーの打球をダイビングキャッチする美技で試合を締めくくった。
「選手たちが頑張り、全員野球で勝てた。OBや島の人たちもいろいろ協力してくれて、徳之島全体で勝てた勝利」と地頭所監督。強豪私学の壁を1つ破ったが、まだ3回戦に勝ち進んだだけ。「自分たちはまだまだ上に行きたい。キャッチボールなど基礎を大事にして一戦必勝で次の試合も戦いたい」と殊勲打の上原の目線はすでに次戦に向かっていた。