試合レポート

星稜、つなぎの打線が広陵の注目右腕・高尾を攻略! 逆転勝利で優勝候補破る<明治神宮大会>

2023.11.16


<第54回明治神宮野球大会:星稜7-6広陵>◇15日◇1回戦◇神宮

この日から始まった、恒例の明治神宮野球大会。この大会、2年連続で決勝進出を果たしている中国地区の雄と言っていい広陵に、北信越を代表する名門校ともいえる星稜が挑むという形になった。高校野球ファンにとっても、見逃せない好カードと言ってもいいであろう。

広陵は初回、相手の飛球失策と野選に乗じて好機を作ると、死球でいきなり無死満塁。ここで4番・只石 貫太捕手(2年)が左越えの走者一掃の二塁打を放ち、無死で3点を奪った。星稜としては、慣れない神宮球場の人工芝ということもあったのかもしれない。まさに、この段階ではどうなることかという展開でもあった。試合後、山下智将監督は、この初回の入りに関しては、「選手たちにとっては、初めての神宮球場でもありましたし、硬さもあったのかもしれません」と振り返っていた。

しかし、ここからは佐宗 翼投手(2年)も修正し、その後3人を抑えるとすっかり落ち着いた。
早い段階で追いつきたい星稜は3回、8番・濱田 大聖外野手(1年)がチーム初安打を放つと、佐宗のバントは悪送球を誘い、一、二塁。吉田 大吾内野手(2年)の右飛で1死一、三塁となると、中谷 羽玖内野手(2年)が中前打で三走をかえす。さらに芦硲 晃太外野手(2年)が安打でつなぐ。

そして、4番・萩原 獅士内野手(2年)が「自分は得意だ」という直球に合わせて右前打を放ち、同点となった。なおも、2死二、三塁から、6番・能美 誠也捕手(1年)が中前打を放ち、2者がかえって逆転となった。星稜打線は、コンパクトに振ってしっかりと打ち返し、単打を積み重ねて、世代屈指の好投手と言われている広陵髙尾 響投手(2年)を攻略した。

さらに、4回にも星稜は、またしても先頭の濱田が中前打を放つと、バントで進み、死球と盗塁もあって、2死二、三塁とした後、広陵外野手が飛球落球。2死ということもありスタートを切っていた走者がかえった。結果的には、この2点が試合の行方に大きく影響することになった。

広陵は、5回に3番・土居 湊大内野手(2年)の中前打で1点を返して3点差とするが6、7、8回は佐宗がしっかりと投げて0点に抑えた。そして、広陵・中井哲之監督が、「せっかくの全国大会なので、経験を積ませる意味でも投げさせたかった」という堀田 昂佑投手(1年)が、7回から高尾をリリーフし、5人をピシャリと抑えてみせた。これには中井監督も「堀田は、十分に大きな舞台でも対応できるということが分かったのは今日の収穫」と評価していた。さらに、打者1人だけだったが、山口 大樹投手(2年)も登板し、広陵としては試したい投手を起用することができた。

広陵は、9回にはこの日4安打と気を吐いていた土居が、2死一、三塁という場面で左中間へ二塁打を放ち、2人を返して1点差とした。一打同点というところまで迫られた星稜だったが、最後は佐宗が踏ん張って初回に3打点を挙げた只石を三振に切って取って逃げ切った。

星稜の山下監督は、「強い相手なので、苦しい試合となりましたけれども、最後までよく粘って頑張ってくれました。相手投手は、評判の好投手なので、そうは打てないと思っていましたが、少ないチャンスに上手く点が取れました。少ないチャンスをものにしていくというのは、ウチの戦い方です」と、勝利を喜んでいた。戦術としては、低い打球を打っていくということを徹底したことも成果が上がったということだった。

6失点ながらも、完投した佐宗は、「いきなり3点を取られましたが、ベンチに戻ったら皆が『3点くらい取り返してやる』と言ってくれたので頑張れました。初めての球場なので、ちょっと戸惑いもありましたが、低めを意識して、後半には修正できました」と、この日の投球を振り返っていた。
取材・文=手束 仁

この記事の執筆者: 手束 仁

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