試合レポート

【愛媛】決勝 川之江 vs 今治西

2023.08.02


21年ぶり6回目となる愛媛の夏を制し歓喜の川之江 写真提供:フィールドスポーツ出版
SCORE
今治西
川之江
1234567891011121314
1 1 0 0 0 0 0 0 2 0
0 0 0 1 0 1 2 0 0 1X
TOTAL
4
5

今治西との延長10回タイブレーク制し、川之江が21年ぶり6回目の夏甲子園決める!

結果

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R 勝敗
川之江 0 0 0 1 0 1 2 0 0 1X 5 Win
今治西 1 1 0 0 0 0 0 0 2 0 4 Loss

<第105回全国高校野球選手権愛媛大会:川之江5ー4今治西(延長10回タイブレーク)>◇28日◇決勝◇坊っちゃんスタジアム

準決勝では最速140キロ右サイド・親川 聖依投手(3年)を中心にノーシードから進出した松山聖陵を8対5で下した第1シードの今治西か。それとも準決勝では最速150キロ右腕・河内 康介投手(3年)を温存してきた聖カタリナに対し、9回表2死から2点差をひっくり返す大逆転で決勝に駒を進めた川之江か。2015年の小松vs今治西戦以来、8年ぶりとなる公立勢同士による決勝戦は、7月28日(金)10時、陽炎の坊っちゃんスタジアムでプレーボールされた。

試合の序盤は今治西ペース。初回2死二塁から4番・長田 雄大外野手(2年)の中前打で先制すると、2回も2死から安打、盗塁と主将の1番・梶原 魁吏内野手(3年)の中前打というソツない攻撃で追加点。エース・松田 真拓投手(3年)も、最速139キロに達した直球をカウント球に、決勝戦まで隠し持っていたフォークを決め球として多投し川之江打線から0を並べる。

中盤以降は一転、川之江がペースをつかむことに。4回に敵失に乗じて1点を返すと、6回は2死二塁から9番・柴垣 豪外野手(3年)の中前打で同点。5回途中で球数80球に達し、長田への交代を強いられた今治西の穴を突くと、7回にはこの回より3番手としてマウンドに立った左腕・渡地 琥太郎投手(2年)に対し、4四死球などでついに2点を勝ち越した。

4回からは元阪神の左腕・新井 智コーチと編み出した120キロ台のチェンジアップを武器に、完全に立ち直った最速142キロ左腕・山内 太暉投手(3年)の状態を鑑みると、試合はこのまま終わるかと思われた。

が、今治西の反発力は凄まじかった。最終回に3連打で1点差に迫るとなおも2死二、三塁から1番・梶原の遊ゴロが失策を誘い4対4の同点。8年ぶり14回目の夏甲子園への執念を示した。

ただ、川之江は敵の圧を感じながらも、一方では冷静だった。3連打を浴びた時点でベンチからは同点許容を意味する「ノーアウト一、二塁」の声が次々と。同点とされた直後、梶原がオーバーランした三塁走者の動きを見逃さず挟殺で逆転を防いだことも、春先からチームスローガン「心通わす」を掲げ、真なる一心同体での野球に取り組んできた成果とも言えるだろう。

そして川之江は、取り組みを明確な結果で示した。9回裏のサヨナラ機こそ、今治西・中堅手、菊川 哲大外野手(2年)の好返球で阻まれたが、タイブレークに入った10回表を0でしのぎ、10回裏1死満塁から1番・奥田 大翔内野手(3年)が右翼線にサヨナラ打。ベスト4に大躍進した2002年夏以来、四国中央市民が待ちに待ち望んでいた6回目となる夏甲子園への扉をついに開いた。

自身指導者24度目のチャレンジでついに大願成就した試合直後、夏空を仰いだ川之江・菅 哲也監督。その瞳からは大量の「汗」が流れ落ちていた…。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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1 Comment

  1. 石村嘉孝

    2023-08-06 at 12:33 PM

    川之江高校が甲子園出場して過去2試合観戦しています。鍋島投手率いて初出場の時の浪商と延長戦、あと一歩で敗退。次は大阪に居た頃、鎌倉健投手の時の浦和学院戦。延長さよなら勝ちに立ち会いました。明日も山内投手率いるチームもきっと勝ち進めてくれるでしょう。昔の池田高校のようなインパクトはないもののピッチャーを中心の堅実な守りのチームがひとつずつ勝ち進めて強豪チームに立ち向かう、それが川之江野球!明日私もアルプス席で精一杯応援します。

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