試合レポート

田辺工vs和歌山東

2023.07.17


最後の打者を打ち取って喜ぶ破戸飛龍(田辺工)

田辺工が和歌山東を下す!エース・破戸が逆転打&完投

<第105回全国高校野球選手権和歌山大会:田辺工5ー4和歌山東>◇16日◇2回戦◇紀三井寺運動公園

昨春の甲子園に出場した和歌山東が初戦敗退。田辺工が逆転で大きな1勝を挙げた。

和歌山東は背番号11の左腕・前芝 翔太投手(2年)が先発。田辺工はその前芝に対して1回から2死二、三塁のチャンスを作ると、5番・樫本 旬夏内野手(1年)の左前適時打で1点を先制する。

対する田辺工の先発は大黒柱の破戸 飛龍投手(3年)。和歌山東は先制された直後の1回に3番・市川 都夢内野手(3年)がレフトへの二塁打で出塁すると、4番・谷村 剛内野手(2年)の中前適時打で同点に追いつく。

さらに和歌山東は3回にも連打で無死一、二塁のチャンスを作り、またしても谷村の中前適時打で勝ち越しに成功。理想的な攻撃で和歌山東がリードを奪うことに成功した。

このまま和歌山東優位で試合が進むと思われたが、「打たれても味方が点を取ってくれると思いながら、低めにできるだけ集めるようにしました」と4回以降は破戸が変化球を使いながら打たせて取る投球で追加点を与えない。和歌山東も5回からエース右腕の伊藤 翔基投手(3年)に継投して必勝態勢に出る。1点差の緊迫した展開のまま試合は後半を迎えた。

7回の田辺工は失策と死球で2死一、二塁のチャンスを作り、ここまで力投を見せてきた3番の破戸が打席に入る。1ボール2ストライクから放った打球は前進する中堅手のグラブをかすめる2点適時二塁打となり、逆転に成功。エースが自らを助ける一打を放った。

さらに田辺工は8回に押し出し四球、9回表に6番・大津 仁外野手(1年)の右前適時打で1点ずつを追加。着実に加点して和歌山東を追いつめた。

だが、夏の甲子園初出場を目指す和歌山東が9回に意地を見せる。1死から連打で一、二塁とすると、相手の失策でまずは1点を返す。さらに1死二、三塁から主将の2番・平川 琥一外野手(3年)の右犠飛で1点差に詰め寄った。

なおも2死三塁でここまで2安打を打っている市川が打席に立つ。しかし、2ボールから振り抜いた打球は遊ゴロとなり、ゲームセット。田辺工が和歌山東を下して初戦を突破した。

147球の熱投で完投勝利を収めた破戸は「昨年は1回、2回に点を取られて、切り替えることができなかったんですけど、今年は切り替えて周りを見ながら投げることができたと思います」と自らの成長を実感。「できるだけこのチームでできるように頑張ります」と声を弾ませた。

敗れた和歌山東の米原寿秀監督は「負ける時はこんなもの。(3年生には)苦しい中で最後まで耐えてよくやってきたなと言おうとは思っています」と語った。

適時打を2本放った谷村らレギュラーの過半数は2年生で、新チームには期待が持てる。「今日からまた練習ですね。秋は獲りに行かないといけないと思っている」と米原監督は秋の躍進を誓っていた。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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