田辺vs県立和歌山商
マウンドに集まる田辺の選手たち
田辺が終盤の逆転劇で県立和歌山商を破る
＜第105回全国高校野球選手権和歌山大会：田辺5ー3県立和歌山商＞◇16日◇2回戦◇紀三井寺運動公園
田辺は寺西 邦右投手（2年）、県立和歌山商は福本 悠陽投手（2年）の両2年生右腕が先発。ともに130キロ台後半の直球を投げ込み、序盤から引き締まった試合が展開される。
試合が動いたのは3回、県立和歌山商は2死二、三塁のチャンスを作ると、5番・竹中 旺世内野手（2年）の右前2点適時打で先制。「今までで一番良いピッチングだった」と楠見直之監督が言うように福本は自己最速の137キロをマークするなど勢いのある速球を投げ、7回まで三塁を踏ませない見事な投球を見せた。
追いかける展開となった田辺も5回途中からリリーフした2番手の原 太陽投手（3年）が1死満塁を無失点で凌ぐなど、粘りを見せて食らいつく。しかし、7回に1死二塁から3番・細田 翔也外野手（3年）の右越え適時三塁打で県立和歌山商が1点を加え、大きな追加点になるかと思われた。
しかし、「6回くらいから球が浮いていた」（楠見監督）と終盤に入って福本に疲れが見え始め、8回の先頭打者に四球を与えたところで、右下手投げの木村 健太郎投手（2年）に継投。これが勝負の大きな分かれ目となった。
田辺は代わった木村から安打と死球で無死満塁のチャンスを作り、3番・宮前 壮真外野手（3年）の左犠飛でまず1点を返す。さらに1死一、二塁から4番・山本 陣世投手内野手（2年）の放った三塁ゴロが一塁への悪送球を誘い、1点を加えてなおも1死二、三塁とチャンスが広がった。
ここで5番の岩手 桜太外野手（3年）が「逆転するならここしかないと思って、自分が決めてやろうと思っていました」と高めの球を捉えると、センターの頭上を越える2点適時二塁打となり、逆転に成功。さらに7番。岩間 知哉内野手（3年）の中前適時打で追加点を挙げ、5点のビッグイニングを作った。
2点リードで迎えた9回は8回から登板していた3番での栗山 岳大内野手（3年）が無失点で抑えて試合終了。終盤の逆転劇で田辺が初戦を突破した。
「この勢いのまま一番上まで上がれるように全力で走り切りたいと思います」と殊勲の一打を放った岩手は笑顔を見せた。劇的勝利でのスタートとなった田辺が台風の目になるかもしれない。
