松蔭vs岡崎工科
快勝の流れの岡崎工科、9回に3点を追いつかれて10回、松蔭を突き放して辛勝
<第105回全国高校野球選手権愛知大会:岡崎工科5-4松蔭(延長10回タイブレーク)>◇15日◇2回戦◇小牧市民
1回戦では中村に12対0で快勝した岡崎工科と阿久比に10対0で勝った松蔭。どちらも無失点のコールドゲームで、まずは会心のスタートを切った同士と言っていいであろう。
今春の県大会では丹羽には快勝したものの、同じ西三河の好敵手といってもいい安城に競り負けた岡崎工科。この夏は何とか、上位に進出してかつては2度、センバツ甲子園にも進出している「OKAKO」健在ぶりを示したいところであろう。
一方、松蔭は今春は名古屋地区2次トーナメントで天白に競り負けて、県大会進出を逃している。
9回までは、終始岡崎工科のペースだった。松蔭の先発は背番号6の恒石 壮吾投手(3年)だったが、岡崎工科は2回、四球の走者を置いて5番・永井 海外野手(3年)が右へ運んでやや幸運な三塁打となって先制点が入る。さらに1死後、スリーバントスクイズで追加点。このリードを5回まで毎回安打はされつつも、左腕の加藤 健太投手(3年)が粘りの投球でこらえていく。これは、持ち味といってもいいものであろう。
そして6回、岡崎工科は2死走者なしから6番・中谷 陽太外野手(3年)の安打と四球で一、二塁として、思い切ってエンドランを仕掛けて8番に入っている加藤が積極的に振っていって三遊間を破り二塁走者がかえって、貴重な3点目となるかと思われた。その後、加藤投手も尻上がりにテンポもよくなり6、7回は三者凡退。8回も2死から安打を許したがしっかりと抑えた。ただ、岡崎工科も8回、9回と複数の走者を出しつつも追加点が奪えなかった。
岡崎工科の平松忠親監督は、「このままスンナリとはいかんだろうなとは思っていた。バタバタとして1、2点は取られるかなとは思った」と言う。一方、松蔭の糟谷和輝監督は、「チームに勢いもあるし、ある程度力はあると感じていたので、3点なら何とか追いつけるかもしれないという気もしていた」と言うが、その言葉通りのことが起きた。
9回、代打・富田 健友外野手(3年)が起用に応えて中前打すると、6番・櫻木 稜大捕手(3年)と続く恒石が連打して無死満塁。ここで糟谷監督は代打・串田 潤(2年)を起用。それに応えた串田は右線に落とす二塁打で2者をかえした。さらに、二、三塁で逆転サヨナラ機となったが、牽制で三塁走者が挟殺で刺され、1死三塁。しかし、9番に入っていた古賀 晶成外野手(2年)がスクイズを決めて同点となる。9回ラストイニングに賭けた松蔭の勢いと気持ちの集中は見事だった。
こうして試合は、10回からのタイブレークに突入した。
岡崎工科はバント失敗と右飛で2死一、三塁。そして迎えた9番・工藤 広琉内野手(2年)は途中出場で、どちらかと言うと守備要因で起用されていた選手だ。その工藤の打球は三塁線を破っていき二塁打となり、三走と一塁の代走・星野 諒登(3年)が生還して2点が入った。さらに、2死二塁でここまで不振だった1番・江口 蒼翔内野手(3年)も右前打したが二塁走者は生還せず2点止まり。
その裏の松蔭は2番からで、しっかりバントで送り1死二、三塁。3番・浅野 秀太外野手(3年)は左前打で三塁走者をかえして1点差。続く4番・近藤 陸内野手(2年)はこの日2度、申告敬遠を受けていたくらいの強打者だ。強い打球が一塁線を襲ったが、岡崎工科もよく守り、3-6-3の併殺で切り抜けゲームセット。最後も、岡崎工科はしっかりと守った。
岡崎工科・平松監督は、「試合の流れとしては負け試合。ベンチでは、何度もあった好機にあと一本出せていたら、こういう展開にはならなかったはず。だから、野球は怖いということを言っていた」と言うが、それでも「最後もよく守れた。今までだったら、ああいうところで悪送球が出たりするんだけれども、そこは守れた。だけど、10回に二塁打を打った工藤も、次の安打でかえってこれなかったし、これから大反省会をしないといかん」と、辛勝に安堵しながらも引き締めていた。
松蔭は、グラウンドもさほど広くなく、しかも他部との共有ということだ。そうした限られた環境の中で、可能な限りのことはやってきた。その成果は十分に出せた試合と言っていいだろう。2年生もメンバーに多く残っているし、この秋以降への期待も高まるチームだ。