試合レポート

3回戦 藤枝明誠 vs 沼津東

2023.07.20

中盤に逆転した藤枝明誠が、2点リードを辛くも守り切って沼津東を下す

<第105回全国高校野球選手権静岡大会:藤枝明誠4-2沼津東>◇20日◇3回戦◇草薙総合運動場

108校、107チームが参加した静岡大会も、この日からはベスト16への進出を競う3回戦となる。

シード校の藤枝明誠は2回戦で誠恵を下してきた。沼津東は初戦で浜松湖北、2回戦で島田工を下しての3回戦。チームとしても、いい感じの戦いをしてきている。

この試合でも沼津東は、初回に先頭の沖田 晴渚内野手(3年)が中越え二塁打して出塁すると、バントで進んで杉山 航大内野手(3年)の内野ゴロの間に生還して先取点を挙げた。藤枝明誠牧野 亮大投手(3年)の立ち上がりを巧みに攻めた形の先制点だった。

いきなり1点を追うことになった藤枝明誠は、2回、3回と安打は出るものの、近藤 秀太投手(2年)の丁寧な投球を崩しきれないまま5回を迎えた。前半を無得点で終わると、やや焦りも出てくるところである。

そんな5回、先頭の6番・原田 航太郎外野手(3年)が左前安打で出ると、1死後、四球で一、二塁。2死となってから1番・山田 峻斗内野手(3年)が左越え二塁打してついに同点。なおも二、三塁で続く髙橋 洸大外野手(3年)も右前安打を放ち三塁走者をかえして逆転。ここで沼津東の鈴木省工監督は、近藤を諦めて2人目として背番号10の島田 凌佑投手(2年)を送り出す。島田に対して藤枝明誠打線は四球後、4番・寺下 颯真投手(3年)が中前へはじき返して2者を迎え入れる。こうして、この回で一気に4点が入った。

結果的には、藤枝明誠の得点はこの回の4点のみということになってしまったのだが、それをしっかりと守り切って逃げ切れたということである。先発した牧野は7回を投げて4安打2失点。6回には失策絡みで1点を失ったものの、内容としてはまずまずのものだったと言っていいであろう。

そして8回、9回はエースで4番という役割を担う寺下が一塁からリリーフ。181センチ、97キロという恵まれた体格で、直球は最速146キロを表示したこともあるという剛腕だが、打者としても通算38本塁打をマークしているという。やはり、チームの大黒柱である。

8回は三者凡退で抑えたが、9回は沼津東打線に連打されて無死一、二塁、長打で同点という可能性もある場面になってしまった。しかし、そこからは落ち着いていた。こういう場面でも慌てない、精神的な強さもあるようだ。

試合後、光岡孝監督は、「夏は負けなければ、まずは良しとしたいですね。最後には勝ち切ることが大事です」と、安堵していた。しかし、試合内容に関しては、「バントと足を使っての攻めをことごとく、相手の捕手に封じられました。それに、投手も思っていた以上に真っすぐに力があってよかった。そんな中で、5回に畳みかけられたのはよかった。こういう試合を勝って、一戦一戦積み上げていくことが大事です。我慢に我慢を重ねての試合でした」と、振り返っていた。

善戦及ばず、敗れた沼津東だったが、とてもいいチームだな、という印象を残してくれた。まさに、5回1イニングのみで敗れてしまったという形になってしまったが、守りもしっかりしていて、取るべきアウトはきちんと取れていたし、取れるべき併殺もしっかりと取れていた。普通の公立進学校が、やれるべき範囲の中で部活動としての野球の成果を十分にしての野球を十分に示してくれたといってもいいであろう。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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